石破首相から小泉進次郎・農相への“政権禅譲計画”をめぐり反・石破勢力も鳴動 ポスト石破の総裁選で「抵抗勢力をぶっ壊す」進次郎劇場第二幕の展開あるか


【写真】院政を敷きたい麻生太郎氏や岸田文雄氏

 備蓄米の随意契約には会計法を所管する財務省の同意が必要で、輸送費まで国が出せば財政負担になる。だが、財務省は反対することなく、進次郎氏の方針を丸飲みした。

「小泉農相は野党が求める消費税減税に慎重で、『低所得者には現金給付をするべきだ』と減税より給付という立場。財務省にとっては、減税論者の玉木氏が首相になるより、小泉首相のほうが都合がいい」(財務省OB)

 実際、それまで国民の関心は「消費税減税」だったが、進次郎氏のコメ劇場で減税への関心が薄れている。財務省にとっては“進次郎様様”だろう。

 だが、自民党内の情勢はすんなり「進次郎後継」とはいきそうにはない。

 政治評論家の木下厚氏はこう見る。

「石破首相が進次郎後継カードを切ろうとすれば、麻生太郎・元首相をはじめ反石破勢力が黙っていない。総裁選になれば、高市早苗氏や小林鷹之氏らを動かして対立軸をつくるはずです。ひそかに再登板を狙っているとされる岸田文雄・前首相にとっても、進次郎氏への世代交代は好ましくないでしょう。それらが進次郎阻止に回る」

 その時に、進次郎氏が「抵抗勢力をぶっ壊す」と掲げれば、ポスト石破の総裁選で進次郎劇場の第二幕が展開される可能性がある。野党の存在は霞むだろう。木下氏はこう語る。

「これまでは自民党は参院選で大敗するとの見方が強かった。だが、コメ問題で進次郎人気が高まっており、自民党調査では参院選も大敗はしないという数字が出ている。国民民主党が失速しているのも自民党にはプラス。

 ただし、安く売却できる備蓄米には限りがあるから、進次郎人気がいつまで続くかわからない。その状況を踏まえれば、石破氏や森山幹事長ら主流派が人気があるうちに進次郎氏を担いで衆参ダブル選挙に持ち込むウルトラCがあり得るかもしれません」

 実際、党内でも「支持率が上昇局面で参院選を迎える以上、勝負をかけるほかない。昨年の衆院選惨敗で落選中の仲間のためにも、“進次郎人気”を最大限に活用すべき」(中堅議員)といった期待が醸成されている。

 実際、石破首相も会期末が迫るなか、「立憲民主党が不信任案を提出した場合は解散の道を選ぶ」と周囲に漏らしているが、「野党への牽制ではなく、進次郎への禅譲込みのシナリオを見据えているのではないか」(別の中堅議員)との見方もある状況だ。

 果たして進次郎氏はコメ改革を実行して真に国民生活を救う政治家になるのか、それとも石破政権や財務省に操られる劇場のピエロで終わるのか。

(第1回から読む)

※週刊ポスト2025年6月20日号



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