元フジテレビアナウンサー渡邊渚さん、性加害手記で二次加害に怒りの訴え

6月6日、『NEWSポストセブン』は元フジテレビアナウンサー・渡邊渚さんの手記を公開しました。この手記では、昨今問題視されている性加害と、その被害者を苦しめる二次加害について綴られています。自身もPTSDを患う渡邊さんは、被害者の抱えるトラウマへの深い共感を示すと共に、二次加害の現状に強い怒りを滲ませています。

PTSDを抱え性加害問題に声を上げる元フジテレビアナウンサー渡邊渚さんのポートレートPTSDを抱え性加害問題に声を上げる元フジテレビアナウンサー渡邊渚さんのポートレート

手記の前編では、自身のPTSD経験から被害者の心情や状況を理解できると述べ、後編では「同意もなく無理やり性的行為をされたら、それははっきり“性暴力”だ」と、性暴力に対する明確な見解を示しました。SNS上では渡邊さんの意見への共感が広がり、「被害者が生まれない未来を作るために声を上げ続けなければならない」という彼女の思いが共有されています。特に渡邊さんが強く憤りを感じているのは、被害が明らかになった際に被害者が受ける心ない言葉や対応、すなわち二次加害です。実際、渡邊さん自身もInstagramで度を超えた誹謗中傷や脅迫行為が続いていることを明かしています。

著名人を巡る性加害トラブルと二次加害の横行

芸能界の性加害問題として、2023年12月に『週刊文春』が報じた松本人志さんからの被害を訴えた女性たちの証言があります。松本さんは性加害を全面否定し、文藝春秋を相手取って提訴するために活動を休止。約1年後に訴訟は取り下げられましたが、その間、証言した被害女性たちはネット上で激しい誹謗中傷という二次加害に晒されました。松本さん側が訴訟中に探偵事務所を用い、被害女性の一人を尾行して恐怖を与えた事案も看過できません。

さらに、2024年12月の報道以来、まだ収束が見えない中居正広さんと当時フジテレビ社員だった女性との間のトラブルもあります。沈黙を続けてきた中居さんは5月12日になり、代理人弁護士ら複数の弁護士に依頼し弁護団を結成。「暴力的または強制的な性的行為は確認されなかった」とする反論文書を発表しました。すでに芸能界を引退していますが、彼の熱狂的なファンたちは、被害女性に対し事実無根の憶測に基づいた執拗な誹謗中傷とも受け取れる発言を繰り返しています。第三者委員会も中居さんの反論について「一連のやり取りが、被害者に二次被害を与える危険性がある」と懸念を示し、今後のやり取りを控えると明言しました。

記者会見の不在が二次加害を助長する可能性

こうした著名人を巡る性加害トラブルで二次加害が多発する背景には、「会見の有無」も影響していると、ある芸能ジャーナリストは指摘します。松本さんのケースも中居さんのケースも、きちんとした記者会見が開かれることなく、加害者サイドからはSNSや関係者を通じた間接的な情報だけが飛び交いました。それゆえ、被害をなかったことにしたい過激なファンが、二次加害につながるような言動をSNSで繰り返してしまうのでしょう。影響力のある著名人として、こうした被害を防ぐためにも、きちんと会見を開いた上で、ファンに対して批判を抑えるように注意を促すことも必要ではないでしょうか。

いずれにせよ、この二次加害問題は、被害者の尊厳をさらに傷つける深刻な社会問題であり、PTSDに苦しむ渡邊さんの、この問題に対する怒りを、私たち誰もが真剣に受け止める必要があります。

出典: https://news.yahoo.co.jp/articles/4549a1d37b5e153cc75ca72a714208eea5a20e2b