ジャングリア沖縄、注目の大型施設オープンへ:経済効果への期待と直面する課題

日本初のジャングル・アドベンチャーパーク「ジャングリア沖縄」が、2025年7月25日のオープンに向けて準備を進めています。沖縄県北部、豊かな自然が広がる今帰仁村の「やんばるの森」を舞台とするこの施設は、20種類以上のアトラクションや、ギネス世界記録に認定された世界最大の屋外インフィニティ風呂など、ユニークな体験を提供します。約60ヘクタールという広大な敷地面積は、東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンをも上回る規模となり、そのスケールから大きな注目を集めています。

日本初のジャングルパーク「ジャングリア沖縄」の目玉施設、ギネス世界記録にも認定されたインフィニティスパのイメージ画像。やんばるの豊かな自然に囲まれた景色日本初のジャングルパーク「ジャングリア沖縄」の目玉施設、ギネス世界記録にも認定されたインフィニティスパのイメージ画像。やんばるの豊かな自然に囲まれた景色

試算される経済効果と雇用創出への期待

関西大学の宮本勝浩名誉教授と大阪府立大学の王秀芳客員研究員の試算によると、「ジャングリア沖縄」の初年度の経済効果は約6582億500万円、雇用創出は約7万人と推定されています。この数字からもわかるように、開園後は沖縄観光の新たな牽引役として、国内需要はもちろん、増加するインバウンド需要の開拓も期待されており、日本経済全体にも影響を与えうるビッグプロジェクトと目されています。

オープンまでの道のりと地元での課題

しかし、この大型プロジェクトが計画通りに進むまでには、いくつかの課題も存在しました。特に、2023年の着工当初には、地元住民から懸念の声が相次いだのです。「やんばるの森」は、ノグチゲラやヤンバルクイナといった希少種が生息する地域であり、大規模なテーマパーク建設が生態系や周辺環境に悪影響を及ぼすのではないか、という懸念です。また、施設周辺道路の交通渋滞を心配する声も多く聞かれました。「ジャングリア沖縄」の運営会社は住民向けの説明会を実施しましたが、これらの問題に対する懸念を完全に解消するには至っていません。

環境問題とインフラに関する専門家の見解

国内外のテーマパークに詳しい日本遊園地学会の塩地優氏は、環境問題について「大きな問題はないと考えています」と述べています。施設の建設地が元ゴルフ場であったことや、環境アセスメントで「影響は極めて小さい」ことが確認されている点を挙げています。ただし、大量の地下水汲み上げによる水資源への影響は無視できない課題としています。周辺道路の渋滞対策に関しては、運営会社が住民説明会を重ねて一定の信頼は得たものの、交差点改良などの具体的なインフラ整備は行政が行っている状況を指摘。本来であれば運営会社が道路整備を行うか、自治体が事前の道路整備とセットで誘致するのが一般的であるとし、道端の木々の剪定すら、今になって名護市や今帰仁村が行っている現状について言及しています。

成功の鍵は交通アクセスとインバウンド戦略

『沖縄美ら海水族館』と並ぶ沖縄観光の二枚看板となることが期待される一方で、解決すべき実務上の課題は残されています。塩地氏は、「ジャングリア沖縄」の成功は、いかにインバウンド客を呼び込めるかにかかっていると見ており、そのためには交通アクセスをいかに良くするかが最大の課題だと指摘しています。那覇方面からのバスの利便性を高めたり、バス車内でもテーマパーク体験の一部となるような演出を工夫したりするなど、利用客のアクセス負担を軽減し、来場を促すための施策が必要不可欠だと提言しています。

開業まで2ヶ月を切った今、「ジャングリア沖縄」が観光業者からの期待に応え、順調なスタートを切ることができるのか、今後の動向が注目されます。


参考文献