共働き世帯、子ども1人と2人で「お金事情」はどう違う?最新データで見る年収・貯蓄・負債

厚生労働省の「令和6年(2024年)人口動態統計」速報によれば、令和6年の出生数は68万6061人となり、前年の72万7288人から4万1227人減少しました。これにより、出生数は初めて70万人を下回る結果となりました。日本において少子高齢化が長年問題視されていますが、特に少子化の進行は止まらない状況です。少子化には様々な要因が指摘されていますが、経済的な要素もその一つと考えられています。この記事では、最新の公的データに基づき、共働き世帯における子どもが1人いる場合と2人いる場合のお金事情を、平均年収、貯蓄、負債の観点から詳しく比較分析します。

最新データから見る!共働き世帯の子どもの人数別家計状況

総務省が2025年5月16日に公表した「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2024年(令和6年)平均結果-」は、子どもの人数別など、詳細な世帯の家計状況を明らかにしています。この報告をもとに、子どもが1人または2人いる共働き世帯の平均的なお金事情を見ていきましょう。

調査によれば、子どもが1人いる共働き世帯の世帯主平均年齢は46.5歳でした。一方、子どもが2人いる共働き世帯の世帯主平均年齢は44.0歳と、やや若い傾向が見られました。

次に、それぞれの世帯の平均年収、貯蓄額、そして負債額を見ていきます。

●子どもが1人いる共働き世帯の平均

  • 平均年収: 863万円
  • 貯蓄: 1504万円
  • 負債: 1363万円

●子どもが2人いる共働き世帯の平均

  • 平均年収: 916万円
  • 貯蓄: 1379万円
  • 負債: 1673万円

これらのデータを比較すると、興味深い傾向が浮かび上がります。平均年収に関しては、子どもが2人いる世帯の方が1人いる世帯よりも多いことがわかります。これは、世帯主の年齢構成やキャリアの段階などが影響している可能性も考えられます。

しかし、貯蓄額を見ると、年収が多いはずの子どもが2人いる世帯の方が、子どもが1人いる世帯よりも少なくなる結果となっています。一方で、負債額は子どもが2人いる世帯の方が多くなっています。このことは、子どもが増えることで、年収が増えてもそれ以上に教育費や日々の生活費といった支出が増加する傾向があること、また住宅ローンなど負債を抱えるタイミングなどが関係している可能性を示唆しています。子どもを育てるには経済的な負担が少なからず伴う現実が、これらの数字から読み取れます。

共働き世帯の家計状況を示すイメージ画像共働き世帯の家計状況を示すイメージ画像

共働き世帯が避けたい!お金が貯まりにくい習慣3選

共働き世帯は夫婦二馬力で収入が比較的高い傾向にあり、理論上は貯蓄しやすい環境にあると言えます。しかし、日々の習慣によって、気づかないうちにお金が逃げていってしまうケースも少なくありません。ここでは、共働き世帯が特に注意したい、お金が貯まりにくくなる習慣を3つご紹介します。

貯蓄目標が曖昧になっている

「いつか貯めよう」「余裕ができたら貯めよう」といった漠然とした考えでは、たとえ収入が多くてもなかなか貯蓄額は増えません。貯蓄目標が不明確だと、「何のために貯めるのか」という目的意識が薄れ、目の前にあるお金をつい使ってしまいがちになるからです。まずは、「〇年後に住宅購入のために〇〇万円」「子どもの大学進学までに〇〇万円」のように、具体的で明確な貯蓄目標を立てることから始めましょう。目標が定まれば、必要な貯蓄額や期間が明らかになり、具体的な計画を立てやすくなります。

お金を増やす工夫をしていない

単に収入を増やすだけでなく、「今あるお金をいかに効率よく増やすか」という視点が欠けている場合も、貯蓄のペースは上がりません。例えば、「先取り貯金」は、貯蓄を確実に増やすための有効な方法の一つです。毎月の収入から一定額を先に貯蓄用口座に移してしまうことで、手元に残ったお金で生活をやりくりする意識が生まれ、無駄遣いを防ぐ効果も期待できます。他にも、NISAやiDeCoといった制度を活用した資産形成も、長期的な視点でお金を増やす工夫として考えられます。

無計画にお金を使いすぎてしまう

共働きで収入が二人分あるという安心感から、衝動買いをしたり、必要以上にお金をかけてしまったりする習慣は、貯蓄の大敵です。使うべきところには使うというメリハリはもちろん大切ですが、何も考えずに財布の紐が緩んでしまうと、いつまで経っても手元にお金が残らない、という状況に陥りかねません。夫婦で定期的に家計の状況を確認し、「何にお金を使い、何には使わないか」といった支出に関する共通認識やルールを持つことが、計画的なお金の管理につながります。

まとめ

厚生労働省の最新データが示す出生数の減少は、日本の社会経済状況、特に出産・育児を取り巻く環境の厳しさを改めて浮き彫りにしています。総務省の家計調査からは、共働き世帯においても、子どもの人数が増えることで年収は増加傾向にあるものの、それに伴う支出増や負債の増加により、必ずしも貯蓄が順調に増えるわけではない現実が見て取れました。子育てにかかる経済的負担は、依然として多くの家庭にとって大きな課題です。このような状況下で、家計を安定させ、将来に備えるためには、漠然とした貯蓄ではなく、明確な目標設定、収入の一部を先取りして貯蓄・投資に回す工夫、そして夫婦間での支出に関する計画的な話し合いといったお金の管理習慣が非常に重要になります。経済的な不安を軽減し、より安心して子育てに取り組める環境を整えるためにも、各家庭における賢い家計運営が求められています。

【参考資料】