日本初の女性宰相、高市早苗氏の誕生と玉川徹氏の「右翼」発言が波紋

2025年10月21日、日本の憲政史上初となる女性首相が誕生しました。衆参両院の首相指名選挙を経て、自民党の高市早苗総裁が第104代内閣総理大臣に選出され、新たな歴史が刻まれました。しかし、この歴史的瞬間から遡ること数時間、テレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』で飛び出したあるコメンテーターの発言が、政界のみならず社会全体に大きな波紋を広げています。

高市早苗新首相の誕生と連立政権の船出

高市早苗氏が日本の顔として、初の女性宰相という重責を担うことになりました。今回の政権発足は、自民党と日本維新の会の連立合意によって実現し、日本の政治に新たな局面をもたらしています。両党間の連立合意書には、今後の政策運営の骨子が盛り込まれ、その内容は多方面から注目されています。

2025年10月20日、連立政権合意書に調印する自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表2025年10月20日、連立政権合意書に調印する自民党の高市早苗総裁と日本維新の会の吉村洋文代表

玉川徹氏の「右翼」発言と背景

高市新首相誕生のニュースが報じられる中、『羽鳥慎一モーニングショー』に出演したコメンテーターの玉川徹氏は、自民党と日本維新の会の連立政権合意書を読み込んだ上で、その内容について独自の見解を述べました。玉川氏は「公明党との連立時代には、決して入らないような要素満載なんです。『保守』というよりも『右翼』って言ったほうがわかりやすいようなことが、オンパレードになっています」と発言し、強い言葉で連立政権の方向性を指摘しました。

さらに玉川氏は、「公明党が『やっていけない』と離れたのは、表向きには政治とカネの問題ですけど、高市総裁ご自身は『保守』だって言うけど、やっぱり『右翼』っていう方法性を、(公明党が)嫌がったっていう分析がいろいろ出ています。出来上がった(合意)文書を見ると、やっぱり『それだな』と言うふうに思います」と持論を展開しました。この「右翼発言」の意図について、玉川氏は「ナショナリズムな部分がこの(合意書の)なかにも相当入ってきている。たとえば家族制度、外国人っていうことをわざわざ書いて、ナショナリズムを前面に打ち出した文書になっているんです。そういうことも含めて、私はさっき(右翼と)言いました」と補足し、合意書に含まれる政策思想が背景にあることを説明しました。

SNS上の反響:「右翼」か「極左」か

玉川徹氏の「右翼発言」は、X(旧Twitter)上で即座に大きな反響を呼びました。発言に賛同する意見としては、「玉川氏よく言った。保守というより右翼、まさに普通はそう思う」「玉川徹の言うとおり、超右翼政権。数々の軍事・右翼法案を通させないために野党が抵抗しなくてはならない」といった声が一部で見られましたが、全体としては少数に留まりました。

対照的に、玉川氏への批判的な意見が大多数を占めました。「思想が左すぎて中道が右翼に見える玉川徹」「『高市さんは右翼』だって?玉川さんのような極左から見たら普通の人が右翼に見えるんでしょう」といったコメントが相次ぎ、玉川氏の政治的スタンスに対する疑問や反発が強く表明されました。これらの反応は、日本の政治における「保守」や「右翼」という言葉の解釈が多様であり、見る者の視点によって大きく異なることを浮き彫りにしています。

コメンテーターとしての過去と今後の課題

玉川氏が高市氏を「右翼」と表現したのは、今回が初めてではありません。2021年の自民党総裁選の際にも、『モーニングショー』で「高市さんは保守のなかでも右側。要するに右翼。右翼層を河野(太郎)さんから取るっていうことだと思う」と発言しており、その思想的立ち位置に対する見解は一貫していると見られています。

テレビウオッチャーは、玉川氏が今回、わざわざ「右翼」という言葉を使った理由を説明したことについて、「玉川さん自身、『右翼』という言葉が問題になることは承知のうえで、あえて使っているのでしょう。まあ、それが持ち味のコメンテーターですからね」と分析しています。たびたび炎上する発言で知られる玉川氏は、2022年には安倍晋三元総理の国葬をめぐる事実誤認発言で謹慎処分を受けた過去もあります。高市新政権の発足という新たな政治局面において、彼の発言が今後どのように展開し、社会にどのような影響を与えるのか、注目が集まります。

結論

高市早苗氏の日本初の女性宰相誕生は、日本の政治史における画期的な出来事です。しかし、その船出と同時に、コメンテーター玉川徹氏の連立政権に対する「右翼」という挑発的な発言が、既存の政治的枠組みや社会の価値観に一石を投じました。この発言は、SNS上で賛否両論を巻き起こし、日本の言論空間における「保守」や「右翼」といった概念の多様な解釈、そしてメディアの役割と影響力を改めて示しています。高市新政権の下で日本の政治がどう動くのか、そして玉川氏のような影響力のあるメディア人の発言が今後どのような議論を呼ぶのか、引き続き目が離せません。

参考文献