北朝鮮へ武器密輸認める、米国で中国人被告に有罪評決 – 最大20年刑の可能性

米国に不法滞在していた中国人男性が、北朝鮮への銃器、弾薬、電子機器などの密輸に関与したとして容疑を認めました。米司法省が9日(現地時間)に発表したところによると、カリフォルニア州オンタリオに住むシェンファ・ウェン被告(42)は、国際緊急経済権限法(IEEPA)違反の共謀罪1件と、外国政府の不法代理人として活動した罪1件について有罪を認めました。この認否に基づき、ウェン被告は最大で懲役20年を言い渡される可能性があります。本件は、米国による北朝鮮への制裁回避の試みに対する取り締まりの一環として注目されています。

米国における容疑と法廷手続き

米司法省の発表によれば、シェンファ・ウェン被告は輸出統制違反の共謀罪により最大20年、外国政府の不法代理人として活動した罪により最大10年の懲役刑に直面する可能性があります。ウェン被告は学生ビザの期間を超過し、米国に不法滞在中でした。彼は米国の対北朝鮮制裁に違反した容疑で、昨年12月に逮捕・起訴されていました。

密輸計画の背景と指示

米司法省によると、ウェン被告は米国に入国する前に、中国にある在北朝鮮大使館で北朝鮮政府関係者と接触していました。この際、北朝鮮側関係者から、米国で特定の物品を調達し、北朝鮮へ送るよう指示を受けていたとされています。ウェン被告の携帯電話から押収されたメッセージからは、共謀者と軍用装備の北朝鮮への輸送について話し合っていた事実が確認されました。また、一部のメッセージには、国際武器取引規定(ITAR)に基づき輸出が規制される品目の写真が含まれていた、と司法省は伝えています。

密輸の手口と具体的な行動

ウェン被告は2022年に、北朝鮮政府関係者2人からメッセンジャーアプリを通じて、銃器などの物品を購入し、中国経由で北朝鮮へ密輸するよう具体的な指令を受けました。そして2023年5月には、北朝鮮側から送金された資金を使用して、テキサス州ヒューストンにある銃器店を買収しました。

米国司法省が押収した、北朝鮮への密輸に使用されたとされるシェンファ・ウェン被告の自宅にあった武器米国司法省が押収した、北朝鮮への密輸に使用されたとされるシェンファ・ウェン被告の自宅にあった武器

ウェン被告は、入手した銃器や弾薬をあたかも冷蔵庫であるかのように偽装して梱包し、カリフォルニア州ロングビーチからコンテナ船で香港へ発送しました。この貨物の最終的な目的地は、北朝鮮の南浦(ナムポ)港でした。さらに、昨年9月には、警察はウェン被告が北朝鮮へ送るために取得したと推定される9ミリ弾薬5万発を押収しています。ウェン被告はまた、米国のブローカーから、ドローンや航空機に搭載可能な熱画像装備や、民間用航空機エンジンを購入しようとしていたことも司法省によって明らかにされています。

経済的な見返りと今後の見通し

ウェン被告はこれらの密輸行為の見返りとして、北朝鮮から200万ドル(約2億8900万円)を受け取ったとされています。本件に対する裁判所の最終的な宣告は、8月18日に予定されています。この事件は、不法滞在中の外国人を利用した北朝鮮の制裁回避努力とその実態を浮き彫りにするものであり、国際社会における北朝鮮に対する制裁の実効性を確保する上での課題を示唆しています。

出典:AFP通信、米司法省