斎藤兵庫県知事巡る情報漏洩問題、元側近への刑事告発と議会の攻勢

6月3日に開会した兵庫県議会は、斎藤元彦知事(47歳)と議会の対立が頂点に達する場として注目されています。会期はわずか10日間ですが、この間に行われる知事への追及が今後の運命を左右すると見られています。特に、かつて知事の「最側近」と呼ばれた人物が、事態打開のカギを握る重要人物として浮上しています。

知事辞職を促す議会の動きと刑事告発の可能性

最大会派である自民党のベテラン県議は、「知事自身に辞任の意思が全く見られないため、もはや司直の手を借りて辞職を促すほかない」と強い口調で述べています。

先日、県の第三者委員会によって情報漏洩が認定された元総務部長に対し、議会主導で地方公務員法違反(守秘義務違反)での刑事告発を行うべきだとの意見が県議会の間で急速に広がっています。もし元側近が刑事罰を問われることになれば、知事も「知らなかった」では済まされない状況に追い込まれると考えられています。

自民党、維新の会、公明党の主要3会派の幹事長は、すでに5月30日から刑事告発の必要性について協議を開始しています。各党が一斉に攻勢を強める背景には、その3日前に公表された調査報告書の内容があります。

兵庫県知事の斎藤元彦氏。情報漏洩問題で議会との対立が深まる。兵庫県知事の斎藤元彦氏。情報漏洩問題で議会との対立が深まる。

第三者委員会報告書が指摘する「知事による漏洩指示の可能性」

この調査は、知事を告発後に自殺した元県民局長の個人的な情報が外部に漏洩した問題に関して、第三者委員会が半年をかけて行いました。その結果、元総務部長の井ノ本知明氏(57歳)による情報漏洩が認定されただけでなく、報告書は「知事が漏洩を指示した可能性が高い」と指摘しています。

井ノ本氏は委員会の聞き取りに対し、昨春、元県民局長のパソコンに多量の私的文書が保存されていることを斎藤知事に報告した際に、「(文書を)議員に情報共有しといたら」と指示を受けたと供述しました。この場に同席していた県幹部と当時の片山安孝副知事も知事の指示があったことを認めています。しかし、斎藤知事だけは「指示はしていない」と否定し、証言が食い違っています。

刑事告発の受理と再選正当性への影響

井ノ本氏が複数の県議に漏洩した情報が、「NHKから国民を守る党」党首である立花孝志氏に流れ、SNSで拡散された問題を巡り、県が提出した告発状が今月2日に兵庫県警に受理されました。

前出の記者は、「報告書を読むと、元側近による情報漏洩が発端となり、SNS上でいわゆる“斎藤フィーバー”が巻き起こり、昨年11月の出直し選挙での当選につながった一連の構図が見えてくる」と指摘します。この一連の状況から、斎藤知事の再選の正当性が根本から揺らぎ始めている状況です。

元側近の反論と徹底抗戦の構え

調査結果を受け、井ノ本氏は停職3カ月の懲戒処分を受けました。しかし、井ノ本氏は漏洩行為は知事の指示に基づく「正当な業務だった」と反論しています。処分の執行停止を申し立てる方針を示すなど、徹底抗戦の構えを見せています。

「最側近」とまで称された人物が、ここに来て知事に不利な証言を行った理由について、県庁関係者は次のように話しています。「彼自身も刑事訴追される可能性がゼロではないことを理解しており、自分の身を守るために『知事を裏切ることも厭わない』という姿勢に転換したと聞いています。」

今後の焦点

今後、元総務部長に対する議会からの刑事告発が行われるかどうかが大きな焦点となります。また、元側近が自身の立場を守るためにどのような行動に出るか、そしてそれが斎藤知事の進退にどのように影響するのか、県議会での議論とともに注目が集まっています。

Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/6fe5e3d82df94c3bf8692a453320cd38b65a38e2