岐阜県中津川市の中央自動車道・恵那山トンネル下り線で11日午後、軽自動車が約8.5キロのトンネル内を逆走し、対向してきた別の軽自動車と正面衝突する事故が発生しました。中央道の恵那山トンネルという、国内有数の長さを誇るトンネル内での逆走という極めて危険な事案です。正面衝突した事故により、逆走していた90代の男性運転手と、衝突された側の40代の男性が軽いけがをしました。
目撃された「驚きの逆走」
事故直前に撮影されたドライブレコーダーの映像には、下り線の追い越し車線を逆走してくる白い軽自動車が捉えられています。この逆走車を目撃したドライバーは、「駐車場を走るくらいの速度、20キロくらいだったと思う」と証言。周囲の車はハザードランプを点滅させ、急ブレーキを踏むなどして危険を回避しようとしていました。当時は雨が強く降っており、多くの車が元々速度を落とし、車間距離も十分に取っていたことが、さらなる多重事故を防いだ要因の一つと考えられます。
中央道・恵那山トンネル下り線で逆走する白い軽自動車(ドライブレコーダー映像より)
運転手の「異常な様子」
さらに、目撃したドライバーは、逆走していた軽自動車の運転手の表情がはっきり見えたと語っています。「口をパカーンと開けて、目を見開いていた」とし、運転手自身が「明らかに自分に何かが起こっている、おかしいぞという様子」だったと証言。あと少し発見が遅れていれば、自身も事故に巻き込まれていたかもしれないと語り、恐怖を感じていました。
事故の影響とトンネルの特性
この事故により、逆走していた90代の男性運転手と衝突された側の40代の男性が軽いけがをしました。事故処理のため、中央道の飯田山本インターチェンジと中津川インターチェンジの間の下り線が一時、通行止めとなりました。恵那山トンネルの下り線は1975年に開通し、全長約8.5キロと国内でも有数の長さを誇ります。特に、トンネルの途中から出口にかけては下り勾配となっており、自然とスピードが出やすい特性があります。
逆走発生の可能性と対策
事故現場から最も近い中津川インターチェンジまでは約15キロ離れており、その間での逆走の情報はありません。考えられる逆走発生箇所としては、サービスエリアからの誤進入や、中央分離帯がなく反対車線に進入できる場所などが挙げられます。路肩が狭く閉鎖的なトンネル内での逆走は、ドライバーにとって回避が極めて困難です。目撃した大型トラックのドライバーは、自車を止めることで他の車線の通行を妨げるため、やむなく通り過ぎたと語りました。今回の事故は、多くの車が速度を守り、車間距離を十分に取っていたことで、最悪の事態を免れた側面があり、「安全運転の大切さを改めて感じた」と語っています。
結論
今回の中央道・恵那山トンネルでの逆走・正面衝突事故は、長距離トンネル内での逆走という、非常に危険な事態が現実のものであることを示しました。高齢運転手の運転ミスが原因とみられており、高速道路での逆走対策、特にトンネル内での緊急時の対応や、標識の分かりやすさなどが改めて課題として浮上しています。私たちドライバー一人ひとりが常に周囲の状況に注意を払い、適切な車間距離と速度を保つ安全運転を徹底することが、こうした事故から身を守る最も重要な手段であることを再認識させられる事例です。
情報源:テレビ朝日 / Yahooニュース