パレスチナ自治区ガザ地区への人道支援物資の搬入を目指し航行していた「グローバル・スムード船団」の一隻が、チュニジア領海で攻撃を受けたと報じられました。船団側は無人航空機(ドローン)による攻撃を主張していますが、チュニジア当局は船の内部で爆発が起きたと発表し、見解が分かれています。この船団には、スウェーデンの著名な環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさんも乗船しており、国際社会の注目を集めています。
チュニジア沖での不審な事件と食い違う主張
8日、「グローバル・スムード船団」は、船団のうち1隻がチュニジア領海で「無人航空機(ドローン)の攻撃を受けた」と発表しました。この事件で乗っていた活動家ら6人に負傷者はいませんでしたが、船の甲板などで火災が発生したとされています。
この発表に対し、ロイター通信が報じたところによると、チュニジア当局は「船の内部で爆発が起きた」との見方を示し、ドローン攻撃の可能性を否定しました。しかし、船団側は9日、別の船から撮影されたとする動画を公開。この動画には、光る物体が上空から落下し、船に直撃する様子が映っており、船団側は「上空から攻撃された」と強く訴え、チュニジア当局の発表とは異なる主張を展開しています。
グレタ・トゥーンベリ氏、チュニジアに到着したグローバル・スムード船団の船上で(2025年9月7日、チュニス)
「グローバル・スムード船団」の背景とガザの現状
この「グローバル・スムード船団」は、8月末にスペインのバルセロナを出航しました。スウェーデンの環境活動家であるグレタ・トゥーンベリさん(22歳)を含む44カ国からの活動家たちが乗船しており、地中海を横断し、イスラエル軍による激しい攻撃が続くパレスチナ自治区ガザ地区へと人道支援物資を届けることを目的としていました。
ガザ地区では、イスラエル軍による攻撃が常態化しており、支援物資の搬入が極めて厳しく制限され、深刻な人道危機が続いています。グレタさんは以前にも、今年6月に船でガザに向かおうとしましたが、地中海航行中にイスラエル当局に拿捕され、その後送還されるという経験があります。今回の事件は、国際的な支援活動がいかに困難に直面しているかを改めて浮き彫りにするものです。
まとめ
チュニジア沖でのガザ支援船に対する不審な事件は、ドローン攻撃と内部爆発という相反する主張がなされており、その真相解明が待たれます。この事件は、ガザ地区が直面している深刻な人道危機と、そこに支援物資を届けようとする国際社会の努力がいかに困難であるかを浮き彫りにしました。日本ニュース24時間では、この問題に関する最新情報を引き続きお伝えしていきます。
参考文献
- ロイター通信 (Reuters)
- 毎日新聞 (Mainichi Shimbun)