リニア静岡工区、「水問題」に続き「残土問題」が浮上 – 熱海条例が壁に

静岡県とJR東海の間のリニア中央新幹線工事を巡る懸念事項のうち、地下水流出問題が節目を迎えつつある一方、新たな問題が浮上している。それは、トンネル掘削に伴い発生する「残土」、特に自然由来の重金属を含む「要対策土」の処理を巡る問題だ。このリニア 静岡 残土問題は、今後の工事進捗に大きく影響を及ぼす可能性がある。

リニアトンネル掘削で発生する残土のイメージ画像リニアトンネル掘削で発生する残土のイメージ画像

なぜ「藤島残土置き場計画」は認められないのか

トンネル掘削で生じる残土には、自然由来の重金属が含まれる「要対策土」が含まれる場合がある。静岡県は、2021年7月に発生し28人の犠牲者を出した熱海土石流災害の教訓を踏まえ、2022年7月に「盛り土等に関する規制条例」を施行した。この条例では、要対策土を含む盛り土が原則禁止されている。JR東海が進める「藤島残土置き場」計画は、この条例に抵触するため、県は計画の見直しを求めてきた。川勝前知事も、この条例がリニア計画策定後に制定されたものであっても、要対策土の盛り土は認められず、適用除外にもならないと繰り返し表明していた。

静岡県の鈴木知事が藤島残土置き場を視察する様子静岡県の鈴木知事が藤島残土置き場を視察する様子

JR東海の苦境と県の対応

しかしJR東海は、県に対し、条例の適用除外として藤島残土置き場計画を認めるよう働きかけを続けている。これは、藤島以外の方法ではハードルが非常に高く、新たな対応に長い時間を要するためだ。6月2日に開催された県地質構造・水資源専門部会でも、JR東海は要対策土処理における他の選択肢の困難さを強調するにとどまり、藤島計画に関する詳細な説明は避けた。会議後の囲み取材で、平木省副知事は、適用除外となる要件について「国交省(鉄道局)に法解釈を求めている」ことを明らかにした。

法解釈の行方とリニア開業への影響

これは事実上、静岡県だけでは判断に手に余るとして、リニア事業を推進する立場である国に対し、法解釈によって何とか解決できないか「下駄を預けた」形と言える。ただし、国がどのような法解釈を示そうとも、条例に基づき藤島残土置き場を認めるかどうかの最終判断権は県にある。現在の条例の規定下では、適用除外とすることは極めて難しい状況だ。残土置き場が確定しない限り、トンネル工事に着手することはできない。川勝前知事が残したこの「残土問題」という難問を解決できなければ、リニア開業がさらに遅れることは避けられないだろう。

静岡工区におけるリニア工事は、地下水問題に続く新たな壁として「残土問題」、特に要対策土の処理方法に直面している。熱海土石流災害を受けた条例が、既存の残土置き場計画の障害となっており、JR東海と県の協議が続く。国交省への法解釈の照会という新たな動きもあったが、最終判断は県に委ねられる。この難題解決が、トンネル工事進展と開業時期の鍵となる。

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