ブラジル 6歳少女がDV父親を通報 母親を救出、現行犯逮捕

「ママがパパに殴られて血が流れているの。お巡りさん、助けてください」――ブラジル、サンパウロ州内陸部のブラガンサ・パウリスタ市で7日(土)、わずか6歳の少女が勇気を振り絞って190番(軍警察の緊急通報ダイヤル)に通報し、父親による家庭内暴力から母親を救出するという事件が発生しました。通報を受けて駆けつけた警察により、父親は現行犯逮捕されたと報じられています。この出来事は、幼い子どもの勇気ある行動が深刻な家庭内暴力の被害を防いだ事例として注目されています。

ブラジル サンパウロ州 軍警察指令センターの様子ブラジル サンパウロ州 軍警察指令センターの様子

勇敢な6歳少女の通報

事件は同市内のパルケ・ブラジル地区にある一家の自宅で発生しました。家庭内での暴力を目撃した6歳の少女は、母親を助けたい一心で自ら警察に電話をかけました。通報時、少女はまだ幼さゆえに泣きながら状況を説明しており、自宅の正確な住所を伝えることさえ難しかったものの、その必死な声からは母親を救いたいという強い気持ちが伝わってきました。この勇敢な通報が、事態の解決に向けた第一歩となったのです。

現場での警察対応と被害確認

少女からの通報を受けた軍警察官は直ちに現場へ急行しました。警察官が到着すると、自宅前で通報者である少女自身が出迎えたといいます。家の中に入った警察官は、42歳の女性が顔や頭部から出血し、負傷しているのを発見しました。被害を受けた女性は警察に対し、同居しているパートナーである男性から鼻と頭部に複数回殴打されたと証言しました。さらに、こうした暴力が今回が初めてではなく、以前から繰り返されていたことも明らかになりました。

加害者の逮捕と法的手続きの開始

被害者である女性のパートナー、46歳の男性は、当初警察の介入を拒否する態度を見せました。しかし、娘である6歳少女の説得により、最終的に警察の対応を受け入れたとされています。男性はその場で家庭内暴力および傷害の容疑で現行犯逮捕されました。逮捕された男性は、近隣のピラカイア市にある公営拘置所へと移送されました。被害届には、子どもによる目撃証言や通報を含む供述が、被疑者による暴力的行為の重大性や継続性を裏付けるものであると明記されています。

サンパウロ州司法裁判所によると、逮捕された男性は翌8日に勾留審問に出廷し、現行犯逮捕は予防拘禁へと切り替えられました。これにより、捜査期間中、男性は拘置所に留置されることになります。事件は引き続きブラガンサ・パウリスタ市の市民警察によって詳細な捜査が進められています。

警察当局の姿勢

事件を担当するバカロ警部は、今回の件についてコメントし、190番への緊急通報はすべて丁寧に精査されていることを強調しました。「通報者の年齢や背景に関わらず、わずかでも信ぴょう性が認められた場合には、迅速に対応する」と述べ、国民からの通報に基づいて警察が迅速に動く体制が整っていることを示しました。今回の事件は、警察が通報一つひとつに真摯に対応している姿勢を改めて示すものとなりました。

まとめ

ブラジルで発生したこの事件は、わずか6歳の少女の勇気ある行動が、深刻な家庭内暴力の被害を受けていた母親を救出し、加害者の逮捕につながったという事例です。少女の懸命な通報と、それに対する警察の迅速かつ適切な対応が、事態の悪化を防ぎました。この事件は、家庭内暴力といった潜在化しやすい問題において、周囲の気付きや、たとえ子どもであっても勇気を出して声を上げること、そしてその声に耳を傾け迅速に対応することの重要性を強く示唆しています。現在も事件の捜査は続いており、今後の司法判断が待たれます。

[参考文献]
G1 (記事提供: ニッケイ新聞)
記事タイトル: Menina de 6 anos liga para 190 e ‘salva’ a mãe de agressões do pai em Bragança Paulista
URL: https://news.yahoo.co.jp/articles/ecff686b569c19b3b33b5cc36a4559354a8dcdb2