備蓄米放出、「税金で買ったのに購入?」疑問の声に農水省が回答

コメ価格の高騰を受け、政府は備蓄米の放出を進めている。しかし、この備蓄米が「税金で買ったものなのに、なぜまたお金を出して買う必要があるのか」という疑問の声が一部で上がっており、議論を呼んでいる。特に「災害時に無料で配られるものではないか」という指摘に対し、農林水産省の見解が注目されている。

備蓄米放出の話題が広まるにつれて、SNS上、特にX(旧Twitter)では「税金で購入した古米をさらに金を出して買わされる」「災害時無料で配る備蓄米を…」といった批判的な投稿が散見されるようになった。中には、政府への不信感や陰謀論に結びつける意見も見られた。

農林水産大臣、小泉進次郎氏のX(旧Twitter)への投稿写真農林水産大臣、小泉進次郎氏のX(旧Twitter)への投稿写真

こうしたネット上の議論は、テレビ番組などでも取り上げられた。日本テレビ系の情報番組「DayDay.」では、コメ価格高騰を取り上げた際にお笑いタレントの小木博明氏が「税金で買ったコメをまた僕らが買うって、なんか、二重で買ってるような気がして…」と率直な疑問を呈した。出演していた農水省出身の鈴木宣弘・東大大学院特任教授も、小木氏の違和感に同意し、今後の議論が必要だとの考えを示した。

備蓄米制度の目的とは

そもそも、国の備蓄米制度は、1993年の記録的な大凶作により消費者がスーパーなどに殺到しパニックとなった「平成の米騒動」の教訓から生まれた。農水省のウェブサイトによれば、将来的な不作や災害など、不測の事態が発生した場合でも国民への安定供給を確保するため、1995年に法制化されたものだ。具体的には、10年に一度程度の不作に対応できるよう、およそ100万トン規模の備蓄が行われている。

災害時の無償提供はあるか?

それでは、災害発生時など、特に緊急性の高い状況下では、この備蓄米が国民に無償で提供されることは想定されているのだろうか。これが、多くの人が抱く根本的な疑問となっている。

この点について、J-CASTニュースが農林水産省の備蓄米担当課に取材したところ、担当者は「元々無償はありませんので、それでお渡しするのは無理です」と明言した。備蓄米はあくまで市場への供給を目的としており、災害時であっても無償配布の仕組みは存在しないという立場だ。

結論

したがって、現在のコメ価格高騰を受けて市場に放出されている備蓄米も、災害時を想定した備蓄分も含め、原則として有償で流通されることになる。税金で購入されたものであるとの指摘はあるものの、制度の仕組み上、無償での提供は想定されていないというのが国の公式な見解である。

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