戦後80年の節目を前に、天皇、皇后両陛下が6月19日、20日に広島をご訪問される予定です。これに対し、過激派・中核派のメンバーが含まれる「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」(大行動)が強く反発しており、広島市側との間で激しいやり取りが行われました。大行動側は、両陛下を歓迎するために19日夜に開かれる民間主体の催し「提灯奉迎(ちょうちんほうげい)」に広島市が「後援」することを問題視し、市職員に対し苛烈な言葉で詰め寄ったと報じられています。
広島市との協議 「平和記念公園での集会禁止」撤回を要求
6月2日、広島市役所にて「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」の宮原亮事務局長ら5人と、広島市市民活動推進課の職員による協議が設けられました。この協議は記者団にも全面公開されました。
協議の冒頭、大行動側は申し入れの文書を提出し、平和記念式典が開催される8月6日の「平和記念公園での集会禁止」の撤回を強く求めました。広島市は、平和記念式典における安全確保の観点から、昨年から原爆ドーム周辺を含む公園全体への入場規制を実施しています。
広島市役所で行われた協議で広島市側との話し合いについて説明する「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」の宮原亮事務局長(左から2人目)ら
これに対し、大行動側は、この規制を「反戦反核集会を行政権力・国家権力で暴力的に規制するもの」と位置づけ、「断じて認められない」と主張しました。この規制強化の背景には、令和5年の式典で市職員に集団で暴行したとして、中核派活動家5人が暴力行為法違反(集団的暴行)の罪に問われ、現在も広島地裁で公判中である事件があります。大行動側は、この事件を「でっち上げ」と主張し、被告らの勾留中も支援を惜しまなかったとされています。安全確保を理由とする広島市側の規制方針に対し、大行動側は「規制は集会の弾圧」として見解の相違は埋まりませんでした。
式典の理想像 市職員への過激発言
協議が続く中で、式典のあり方にも話が及びました。大行動側は、そもそも平和記念式典自体についても、「戦争を進めている首相」が参列するなどを理由に「翼賛」にほかならず「粉砕」の対象だとの認識を示しています。
見解の相違が続く中で、市職員が「皆さんはどんな式典が理想ですか」と尋ねると、大行動のメンバーの一人は語気を荒げ、「戦犯天皇に石をぶつける、そういう式典が一番良いんだって!」と答えたといいます。この発言は、両者の間に存在する根本的な思想的断絶を浮き彫りにしました。
今回の協議からは、天皇皇后両陛下の広島ご訪問や平和記念式典を巡る「8・6ヒロシマ大行動実行委員会」と広島市との間の、埋めがたい溝と深刻な対立が改めて示されました。特に、式典のあり方に関する大行動側の過激な発言は、両者の間に存在する根本的な思想的断絶を浮き彫りにしています。今後の展開が注目されます。