スマホ依存が招く「朝のだるさ」改善へ:睡眠の質と自律神経を整える秘訣

「朝、なんとなく身体がだるい」「ベッドから起き上がるのがつらい」。このような不調が続くとき、それは決して「やる気がないから」「メンタルが弱いから」といった単純な理由ではありません。多くの方が不調の原因を「自律神経の乱れ」と考え、食事や運動、入浴など様々な方法を試していますが、なかなか改善しないのは、問題が自律神経だけではないからです。

スマートフォン依存による睡眠の不調が増加傾向にある様子スマートフォン依存による睡眠の不調が増加傾向にある様子

「なんとなくしんどい」その原因は自律神経だけではない

本当に心身の不調を根本から改善し、「なんとなくしんどい毎日」から抜け出すには、自律神経、気象(気圧・湿度・気温など)、骨格(姿勢)という3つの要因を同時に見ていく必要があります。これらは相互に深く関係しているため、どれか一つだけを整えても、残りが乱れていれば不調は長引いてしまいます。

せたがや内科・神経内科クリニック院長で医学博士の久手堅司氏が提唱するように、これら3つの要因を無理なく整えることが重要です。久手堅先生は著書『自律神経 これ1冊ですべて整える』の中で、その具体的な方法を分かりやすく解説しています。特に、現代社会で増加するスマートフォン依存と睡眠の質の低下は、これらの要因と密接に関わっています。

質の高い睡眠が疲労回復の鍵

睡眠不足で朝起きたときに体調が悪いと、その日一日、調子が上がらないと感じることはありませんか?体調を回復し、毎日を快適に過ごす上で最も大事なのは、質の高い睡眠であると言っても過言ではありません。

ただし、疲れているからといって毎日長時間眠ったり、休日に寝だめをすれば良いというわけではありません。むしろ睡眠時間が長すぎるのも、身体に良くないと言われています。「いくら寝ても疲れがとれない」という方は、睡眠の量ではなく、その質に問題があるのかもしれません。

睡眠には、眠りについてからの「90分のゴールデンタイム」が存在します。この最初の90分でいかに深く眠るかが、睡眠の質全体を高める上で非常に重要です。ご存じの通り、睡眠にはレム睡眠(REM: rapid eye movement)とノンレム睡眠(non-REM: non-rapid eye movement)があります。レム睡眠は身体が休んでいても脳が活動中の状態(眼球が細かく動いている)で、比較的浅い眠りです。このゴールデンタイムに深いノンレム睡眠を確保することが、疲労回復と心身のバランス維持に繋がります。

結論

朝のだるさや慢性的な不調は、自律神経の乱れだけでなく、気象条件や姿勢、そして特に睡眠の質が複雑に絡み合って生じます。日々の疲労から回復し、健やかな毎日を送るためには、長時間睡眠にこだわるのではなく、入眠後の「90分のゴールデンタイム」における深い眠りを重視することが不可欠です。スマートフォンとの付き合い方を見直し、デジタルデトックスを取り入れることで、このゴールデンタイムの質を高め、身体の不調を根本から改善していきましょう。