都議選・千代田区、現職・平慶翔氏に新人5人が挑む激戦区の行方

夏の参院選のゆくえも占う東京都議会選挙が6月13日に告示される。全42選挙区、127議席をめぐる争いの中でも、「東京の中心地」である千代田区(定数1)は特に注目される激戦区だ。現職の都民ファーストの会・平慶翔氏(37)に対し、自民党を含む新人5人が挑む構図となっている(6月10日時点)。しかし、平氏は2期目当選後も週刊誌でスキャンダルが報じられるなど波乱含み。対する自民党も党内分裂の様相を呈しており、情勢は混迷している。この東京都議会議員選挙 千代田区の戦いは、一体どのような展開を見せるのだろうか。

激戦区・千代田の構図

千代田区選挙区は定数わずか1。現職の平慶翔氏に、自民党、共産党、再生の道など、異なる政治立場からの新人候補計5人が挑む図式だ。平氏は都議として2期目を務めているが、当選後もメディアでの報道が相次ぎ、「お騒がせ」のイメージがつきまとう。本来であれば有力な対抗馬となるべき自民党は、候補者擁立を巡って党内が混乱しており、盤石な戦いができていない状況だ。この現職の状況と、分裂した対立構造が、予測困難な選挙戦を生み出している。

東京都議会議員選挙 千代田区に立候補予定の都民ファーストの会 平慶翔氏東京都議会議員選挙 千代田区に立候補予定の都民ファーストの会 平慶翔氏

現職・平慶翔氏を直撃

告示を控えた6月7日、現職である平慶翔氏は千代田区内の駅前商店街を一人で歩いていた。白いワイシャツにスリムな体型、端正な顔立ち。メガネをかけていても、遠目からでもその姿は際立っていた。声をかけると、居酒屋での会合に向かう途中とのこと。取材の意図を伝えると、「会合でみんな待っているから。ちょっと待ってて、戻って来るから」と告げ、居酒屋の中へ入っていった。約1時間20分後、記者が諦めかけた頃、平氏は再び商店街に現れた。記者が千代田区民ではないことを確認すると、手土産のカステラを差し出しながら、笑顔でこう述べた。「じゃあ、これ持って帰ってください。ずっと、こんなところで待たせてかわいそうだもの」この後、平氏が語った内容は、彼の人物像や選挙への向き合い方を垣間見せるものだった。

平氏の横顔と千代田の政治的背景

ここで、平氏のこれまでの歩みを振り返る。彼はタレントの平愛梨氏を姉に持ち、妹もタレントの平祐奈氏。姉の夫はサッカー日本代表の長友佑都選手であり、平氏はその義弟にあたる。元衆議院議員の下村博文氏のもとで公設第一秘書を務めた後、2017年7月の都議選で板橋区から初当選。続く2021年7月の都議選では、選挙区を千代田区に移し、当時「都議会のドン」と呼ばれた自民党の内田茂氏の娘婿である内田直之氏と議席を争った。結果は、平氏が8149票、内田氏が7240票と、909票差で平氏が激戦を制する形となった。千代田区の区政関係者は、この時の選挙結果と現在の千代田区の状況についてこう語る。「小池都政にとって、千代田区は一丁目一番地です。千代田区長も都民ファーストの樋口高顕さんで、たった一人の都議も平さん。現状は都民ファーストの天下です」と。これは、千代田区が都政における都民ファーストの会の重要な拠点であることを示している。

都議会選挙の中でも特に注目される千代田区選挙区は、現職である平慶翔氏の「お騒がせ」体質や、対抗勢力である自民党の混乱といった特殊な要因が絡み合い、その行方は不透明だ。新人候補が平氏の議席を奪うのか、それとも現職が三選を果たすのか。夏の都政を占う千代田の戦いは、告示日以降、さらに熱を帯びるだろう。


出典: Yahoo!ニュース (朝日新聞デジタル)