近年、コミックの映像化やドラマ化が盛んに行われる中、エンタメ業界で注目を集めているのが、漫画家・玖島川のり氏がX(旧Twitter)に投稿した漫画『後で気付いたけど、エレベーター内で2人だけになるのが嫌だったんですね…』です。この作品は、多くの人が経験し得る「エレベーターでのすれ違い」という日常の一コマを描き、読者の間で大きな共感と反響を呼んでいます。現代社会における人々の心理、特にデリケートな対人距離感を巧みに描き出し、その深い洞察が「日本ニュース24時間」の読者にも新たな視点を提供しています。
不思議な行動の裏に隠された真実
物語は、玖島川のり氏自身が体験したエレベーターでの出来事を基にしています。ある日、エレベーターを待っていた玖島川氏の隣にいた女性が、到着するやいなや「お先にどうぞ、私、乗らないので」と告げ、乗車を譲りました。玖島川氏は、なぜ乗らないのに待っていたのかという疑問を抱きつつ、一人でエレベーターに乗ります。しかし、忘れ物に気づき引き返すと、そこには先ほどの女性がまだ待っているという「すれ違い」の再会が描かれます。この一連の出来事を通して、女性がエレベーター内で二人きりになることを避けたいという心理があったことに、後で玖島川氏が気づくという展開が読者の心を掴みました。
エレベーター内で二人きりになるのを避ける女性と、状況に気づく主人公が描かれた漫画の一コマ
読者からの熱い共感と多角的な視点
このエレベーターを巡るエピソードは、Xに投稿されると瞬く間に1万件を超える「いいね」と多数のコメントが寄せられました。読者からは、「お互い悪くないすれ違いだ」「戻ってきた時にめちゃくちゃ気まずそう」「運が悪かったんだな」「男性じゃなくても怖いと感じるかも」といった声が上がっています。多くの人が、このような状況での「気まずさ」や、他者の意図を察することの難しさに共感を示しており、特に現代社会におけるパーソナルスペースや対人関係の複雑さを浮き彫りにしています。この漫画は、単なる日常の一コマを超え、社会的な心理現象を問いかける作品として評価されています。
作者・玖島川のり氏が語る「日常の気づき」
「ザテレビジョンマンガ部」のインタビューに応じた作者の玖島川のり氏は、読者からの温かいコメントに感謝の意を述べると共に、その後の状況についても語っています。再会した二人が一緒にエレベーターに乗ることはなく、玖島川氏が忘れ物を取りに戻った間に、女性は入れ違いで乗っていったとのこと。女性の行動の理由に気づいた時の気持ちについては、「気まずさと、怖い思いをさせていたという複雑な気持ちがありました」と振り返っています。
今後の創作活動について、玖島川氏は「これまで同様、何気ない日常の中で得た気づきや、今回のようなあらためて考えさせられるような出来事を漫画にして発信していきたい」と展望を語りました。日常の中に潜む小さなドラマや、人々の心の機微を捉える同氏の作品は、これからも多くの読者に共感と考察の機会を提供し続けるでしょう。
日常の出来事が示す社会の縮図
玖島川のり氏の漫画は、私たちの日々の生活の中で見過ごされがちな小さな出来事が、いかに現代社会の縮図を映し出しているかを教えてくれます。エレベーターでの「すれ違い」は、単なる偶然ではなく、個人の安全意識、他者への配慮、そして互いの意図を測りかねる現代人の心理が交錯する瞬間と言えるでしょう。このような作品が広く共感を呼ぶことは、社会全体が抱えるデリケートな対人関係の課題に対し、私たちがもっと深く向き合う必要があることを示唆しています。日々のニュースが提供する大きな出来事の裏で、このような日常の「気づき」が社会の理解を深める重要な手がかりとなるのです。





