【ひふみんEYE】藤井聡太棋聖「羽生の頭脳」さながらの鮮やか「振り飛車破り」V6濃厚


 将棋の藤井聡太棋聖(竜王・名人・王位・王座・棋王・王将=22)に杉本和陽六段(33)が挑戦するヒューリック杯第96期棋聖戦5番勝負第2局が18日、兵庫県洲本市「ホテルニューアワジ」で行われ、先手の藤井が杉本を下した。開幕2連勝で6連覇へあと1勝とした。棋聖を防衛すれば、タイトル通算獲得数は節目の30期となり、歴代4位の通算31期の渡辺明九段(41)にあと「1」に迫る。

【写真】棋聖戦5番勝負第2局に臨んだ藤井聡太棋聖

 本紙「ひふみんEYE」でおなじみ、加藤一二三・九段(85)が対局を振り返ります。

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 藤井棋聖の圧勝です。日本将棋連盟の羽生善治前会長の名著「羽生の頭脳」のシリーズにあった「振り飛車破り」さながらの、四間飛車に対する機敏で鮮やかな指し回しでした。

 一歩損でどうまとめるのかと思いましたが、7筋にあった銀を8~9筋に転換。9筋の歩を伸ばしての端攻めに、杉本陣攻略の糸口を見つけました。突っ張った指し方の杉本六段の銀が6筋に浮いてきたのを目標に歩を突き、一気に優勢を築きました。そこから最後に6筋に桂を打って投了に追い込むまでの攻めが素早かったです。しかも、有利な局面で攻めから一転、7筋の底に香を打って防御に回るあたりは、いかにも「藤井聡太流」。慎重な戦いぶりでした。

 杉本六段は9筋に歩を打たず、6筋に銀を繰り出したのが敗着です。得な指し方ではありませんでした。藤井陣が堅くなり、好形にさせたうえ、相手の攻めを呼び込んでしまいましたから。チャンスらしいチャンスもありませんでした。

 シリーズは、2局とも藤井棋聖の振り飛車対策が行き届き、連勝という結果に出ている気がします。防衛と棋聖6連覇がかなり濃厚とみました。(加藤一二三・九段)



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