キユーピー、育児食全72品目の生産・販売を終了へ 2026年8月末

キューピー株式会社は2025年6月12日、公式サイトにて展開する「育児食」(ベビーフード・幼児食)全72品目について、2026年8月末をもって生産を終了し、順次販売も終了すると発表しました。この事業は1960年の発売以来、65年にわたり続けられてきたものです。育児食事業からの撤退は、同社の長期的な経営判断に基づくものと考えられます。

生産終了までの期間と背景

今回発表された生産終了の時期は2026年8月末であり、発表から実際に終了するまで約1年間の期間が設けられています。同社はこの期間について、「急な供給停止によるお客さまやお得意先の皆さまへのご負担を最小限にとどめるため」と説明しています。また、「この1年間を、当社育児食をご利用いただいているお客さまが引き続き安心して商品をご購入いただける期間として、また今後の商品選択を検討する期間としていただけるよう、今後の対応に努めてまいります」としています。

長年にわたり育児食の生産・販売を行ってきた同社ですが、近年は厳しい市場環境に直面していました。具体的な理由として、「自社の販売数量の低迷に加え、原資材価格やエネルギー費の高騰によるコスト増」を挙げています。

キユーピー本社外観 - 育児食事業からの撤退を発表キユーピー本社外観 – 育児食事業からの撤退を発表

事業継続困難と判断した理由

同社は、育児食事業の継続に向けて様々な検討を重ねてきたことを強調しています。「商品継続のために、設備投資や販売促進を含むあらゆる検討を重ね、立て直しを図ってまいりました」しかし、そうした努力にもかかわらず、「お客さまにご満足いただける品質を維持しつつ生産を継続することが困難であると判断」したとのことです。この判断は、「誠に遺憾ながら」生産・販売の終了を決定するに至った主な要因とされています。収益性の悪化や将来的な見通しの厳しさが、事業撤退という決断につながったと考えられます。

今後の活動と対象商品

育児食の生産・販売は終了するものの、同社は子どもたちの食と健康への貢献活動自体は継続する意向を示しています。「これまで培ってきた『品質』への姿勢を継承し、子どもたちの食と健康に貢献する活動は継続してまいります」とコメントしています。具体的な活動内容については現時点では明らかにされていませんが、異なる形での社会貢献を目指す姿勢が見られます。

生産・販売が終了する対象商品は、育児食カテゴリーの全72品目です。内訳は以下の通りです。

  • 瓶詰:21品目
  • にこにこボックス(カップ容器):20品目
  • レンジでチンするハッピーレシピ(レトルトパウチ):14品目
  • ベビーデザート:6品目
  • おやつ:2品目
  • やさいとなかよし(ごはん・麺用ソース):7品目
  • やさいとなかよし(スプレッド):2品目

公式サイトでは、これらの各商品の賞味期間についても案内されており、利用者は今後の購入計画の参考にすることができます。

過去の製造終了について

今回の全品目終了発表に先立ち、同社は2025年3月にもカップ容器入りのベビーフード「すまいるカップ」シリーズ全15品目の製造を終了していました。当時は終了理由が明確にされなかったため、SNS上では利用者からの戸惑いや衝撃の声が広がっていました。今回の全品目終了は、すでに進められていた事業整理の一環である可能性も考えられます。

まとめ

キューピー株式会社が、長年にわたり展開してきた育児食全72品目の生産・販売を2026年8月末で終了することを発表しました。これは、販売数量の低迷とコスト増加という厳しい市場環境の中で、事業継続が困難であると判断した結果です。約1年間の猶予期間を設けることで、利用者や取引先への影響を最小限に抑える方針です。育児食事業そのものからは撤退しますが、同社は今後も子どもたちの食と健康に貢献する活動は継続していくとしています。長年同社の育児食を利用してきた消費者にとっては、代替商品の検討が必要となります。


参考資料