近年、人気がますます高まる中学受験において、どの学校でも出題される重要科目である「国語」の対策は多くの受験生と保護者の課題です。特に、合否を分ける肝となる小説文や論説文の読解問題にどう取り組むべきか、その効果的な学習法が求められています。教育ジャーナリストの西田浩史氏は、首都圏の78の塾、161人の「中学受験のプロ」に対し、読書という対策の重要性や具体的な方法、過去3年間でよく出題された作家や作品、さらには「次に出る本」について独自取材を実施しました。本稿では、この取材で明らかになった読書の重要性と、それを活用した効果的な国語対策について深く掘り下げていきます。
中学受験における「国語」の絶大な重要性
中学受験において国語は極めて重要な科目として位置づけられています。大学受験とは異なり、中学受験には英語がありません。そのため、主要な必修科目は国語と算数の二つに絞られます。国語の能力は、社会や理科といった他の科目にも良い影響を与え、文章を正確に理解する力は、これらの科目で出題される問題文の読解にも直結します。逆に、国語が苦手な場合、他の科目の点数にも悪影響を及ぼす可能性があります。このことから、国語はすべての科目の基礎となる「ベース科目」であると言えるでしょう。
なぜ問題演習だけでは不十分なのか?読書が必須の理由
塾のテキストや問題集を繰り返し解くことはもちろん大切ですが、それだけでは十分な対策とは言えません。特に、中堅校以上のレベルを目指す場合、それに加えて文章に対する「慣れ」というプラスアルファの要素が必要不可欠になります。最近の国語の問題傾向として顕著なのは、問題文の長文化です。以前にも増して、長い文章を集中して読み続ける「慣れ」や「忍耐力」が求められるようになっています。また、様々な実際の文章に多く触れることで、読解力の土台を確固たるものにするという意味でも、読書は非常に重要な対策となるのです。
新潮社のYouTubeチャンネル「イノベーション読書」より
読書と問題演習の理想的なバランス:プロのアドバイス
国語対策として読書と問題演習の割合をどの程度にするべきかは、志望校の難易度によって異なりますが、大まかな目安としては問題演習8割、読書2割程度の割合をイメージすると良いでしょう。問題演習が学習の中心であることに変わりはありませんが、読書による準備も決して軽視すべきではありません。特に、入試で出題されやすい作家や作品を事前に読んでおくことは非常に有効です。たとえその文章を直接読んだことがなくても、知っている作家の名前が問題文に出るだけで、受験生は安心感を持って問題に取り組むことができます。入試という心理的プレッシャーの高い状況において、このような安心感は合否に大きく影響する可能性がある重要な要素となります。
読書対策が直接合否を左右することも?出題される可能性
対策として読んだ本が、実際に入試でそのまま出題される可能性は十分にあります。入試問題で扱われる文章には、一定の制限があるためです。例えば、小説文の場合、スポーツや学校生活といったテーマが中心となることが多く、実は出題範囲はそれほど広くありません。そのため、事前に読んでおいた作品が、入試本番でそのまま出題されたというケースは決して珍しくありません。多くの塾では、問題を解く前に、文末に記載されている作家名や作品名を確認するよう生徒に指導しています。日頃から読書による準備をしておくことで、この確認の際に「知っている」という感覚を得ることができ、それが大きな心理的アドバンテージとなるのです。
中学受験の国語対策において、単なる問題演習だけではなく、戦略的な読書を取り入れることが成功への鍵となります。プロの視点から見ても、読書は長文に慣れ、読解力の土台を築き、さらには心理的な安心感をもたらす重要な要素です。問題演習と読書のバランスを意識し、出題傾向を把握した上で適切な作品に触れることが、国語の得点アップ、ひいては中学受験突破へと繋がるでしょう。
参考文献
- 新潮社のYouTubeチャンネル「イノベーション読書」
- Yahoo!ニュース: 中学受験「国語」頻出作品はこれだ 78の塾、161人の講師に聞いた「次に出る小説文」と「効果的な対策方法」 https://news.yahoo.co.jp/articles/4ccaf94f9f23730f3f4c473810315dc0ed6e9d31





