FNNが8月23・24日に実施した電話世論調査の結果、石破首相の続投を容認する有権者の意向が7月調査よりも明確になりました。この結果を受け、政府・与党内からは戸惑いや嘆き、そして様々な声が聞かれています。世論の支持拡大と自民党内の動きとの間に生じる乖離が、今後の政局にどのような影響を与えるのか、注目が集まっています。
FNN世論調査で支持率が上昇した石破首相の姿
石破内閣の支持率:安定した上昇傾向
FNNの世論調査によると、石破内閣を「支持する」と答えた有権者は38.8%(前月比+4.2ポイント)に達し、「支持しない」は57.1%(前月比-3.2ポイント)となりました。この支持率の上昇は、首相周辺から「全体的に石破首相らしさが好感されており、一方で“石破おろし”の動きは冷めた目で見られている」との見方を引き出しています。世論の動向は、内閣の安定性を示す重要な指標となっています。
首相続投への民意:辞任論を上回る結果
与党が過半数割れした7月の参院選後、「石破首相は辞任すべきか」という問いに対し、7月調査では拮抗していた意見が、今回は顕著な変化を見せました。「辞任すべき」は6.3ポイント減の41.4%となり、逆に「辞任しなくてよい」は7.7ポイント増の51.9%と過半数に達しました。これは、国民が石破首相の続投を明確に支持していることを示唆しています。
一方で、自民党議員からは「世論調査は関係ない。選挙の責任をとってもらう必要がある」「世論とのズレと言われればそうだが、党として、責任をとらないとけじめがつかない」といった、組織論に基づいた引責論が依然として聞かれています。党内の論理と世論の感覚との間で大きな隔たりがあることが浮き彫りになっています。
総裁選前倒し論争:党内と世論の乖離
自民党内で持ち上がっている総裁選前倒しの動きについては、「支持する」が43.4%、「支持しない」が48.7%と、“石破辞めるな”側がやや上回る結果となりました。特に、自民党支持層の有権者に限定すると、総裁選前倒しへの支持は23.6%に留まり、不支持が70.0%に上るという明確な傾向が見られます。
この結果を受けながらも、「世論調査の結果がこうならば、なおさら石破さんのままでいいのか、そうじゃないのか、本人が出たうえで総裁選で信を問えばいい」と、あくまで前倒しを求める議員も存在します。また、党内からは「世論調査の流れを見て、総裁選前倒しは無記名で、という議員が増えている。情けない」という嘆きや、「党内の見え方と世論調査結果が乖離しているのは初めて見る」という戸惑いの声も聞かれ、党内の混乱が伺えます。年代別に見ると、総裁選前倒しを「支持しない」層は年代が上がるほど多くなる傾向にあります。
次期総裁候補:有権者と自民党支持層の隔たり
前倒しで総裁選が行われた場合、「次の自民党総裁に最もふさわしい人」として有権者が選んだのは、高市早苗氏が23.0%でトップ、小泉進次郎氏(20.9%)、石破氏(14.4%)が続きました。
しかし、自民党支持層の有権者が選んだ「次の総裁」は、石破氏が29.0%でトップとなり、小泉氏(24.9%)、高市氏(17.0%)の順でした。これは、自民支持層の約7割が総裁選前倒しを支持しないと答えた結果と一致しており、党の基盤支持層と全国の有権者との間で、次期リーダーに対する期待が異なっていることが明確になりました。
世論の動向と自民党の選択:激動の一週間へ
全国の有権者の過半数が示した「石破辞めるな」の意思は、自民党が党所属国会議員と地方組織に対して行う「総裁選前倒しへの賛否の意思確認」に影響を与えるのでしょうか。
「現執行部は内閣支持率が高いなどと言って見ないふりをするかもしれないが、こっちには関係ない」と強硬な姿勢を見せる議員がいる一方で、「はじめから、やる必要はない」と余裕を見せる閣僚もいます。前倒しへの賛否は党内で分かれており、世論の動向を見て判断に悩む議員も多い状況です。ある自民党の若手議員は「激動の1週間になりそうだなと思っている」と呟き、今後の政局の緊迫感を表現しました。世論の明確な意思表示が、党内の複雑な力学にどのような変化をもたらすのか、その行方が注目されます。
参考文献: