育児休業後、正社員から契約社員に変更させられ、さらに雇い止めされたとして、女性が勤務先の会社に地位確認や損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、雇い止めを無効と判断して会社に110万円の賠償を命じた1審判決を変更し、女性の逆転敗訴とした。マタニティーハラスメントだとする女性の訴えを退け、雇い止めには合理的な理由があったと判断した。
判決で阿部潤裁判長は「会社が退職を迫って契約社員に誘導した事実はない」とし、女性の意思で契約社員を選んだと認め、1審と同じく正社員としての地位確認請求を棄却した。
その上で女性に服務規律違反があり、会社がマタハラ企業だとの印象を与えようとした行為があったと判断。会社との信頼関係を壊しており、雇い止めには合理的理由があったとした。
逆に平成27年の提訴の記者会見で、女性側が「契約社員が嫌なら退職を、と迫られた」などと報道各社に伝えた内容は客観的事実と異なり、名誉毀損に当たるとして、女性に会社への55万円の賠償を命じた。