ある調査によれば、高卒・大卒の新卒採用者の3割以上、中途採用者の約3割が3年以内に離職してしまうそうですが、No Company, inc.代表取締役社長の秋山真氏は、その原因は「環境とのマッチング」が機能していないことにあると喝破します。
こうした「早期離職者」だけでなく「モンスター社員」を生むことにもつながりかねない企業と社員の「ミスマッチ」について、秋山氏の著書『これまでと同じ採用手法で大丈夫なのか? と悩んだときに読む 採用の新基準』から、一部を抜粋・編集してお届けします。
■「なぜ採用がうまくいかないのか」を分解してみる
採用が思うようにうまくいかない。そんな悩みを抱える企業は、決して少なくありません。
「応募が集まらない」
「途中で離脱されてしまう」
「入社してもすぐに辞めてしまう」
その原因は何かと問われると、多くの企業が「時代の変化」や「若者の価値観の多様化」によるものだととらえがちです。
確かにそれも一因ではありますが、私がこれまで多くの企業を支援してきたなかで「採用がうまくいかない理由」はただひとつの要因で語れるものではなく、複数の課題が複雑に絡み合った“構造”として存在しているということが見えてきました。
つまり、採用の失敗とは「ミスマッチ」という結果の手前に、いくつもの認識のズレやアプローチの齟齬が存在しているものなのです。
本稿では今、採用の現場で起きている“ミスマッチの正体”を丁寧に分解しつつ、「なぜこれだけ“想い”や“理念”を発信しているのに、うまくいかないのか」という疑問に、実践的なヒントを加えながら答えていきます。
企業と働く人の価値観をマッチングする「スタイルマッチ」という考え方をより深く理解してもらうためにも、まずはここで“採用の現実”に正面から向き合っていきましょう。
■「半径5メートル以内」とのマッチが不可欠に
No Companyでのここ数年間の業務を通じて、はっきり見えてきたことがあります。それは、企業が「パーパス」や「ミッション・ビジョン・バリュー」を発信していても、ミスマッチが減らないということです。
従業員5000人以上の大企業の約7割がパーパスを設定しており、経営者の約97%が「パーパスを浸透させることは重要」と考えているというデータがあります。同時に、ミッションやビジョンの発信が増加していることも数字に表れています。