日本有数のメロン産地、茨城県鉾田市に、文字通り「幻」のメロンが存在し、注目を集めています。これは、JA茨城旭村特産物直売所「サングリーン旭」で販売される、糖度20度を超える極めて希少なメロンに与えられた特別な名称です。今年の春シーズンにおいて、この「幻のメロン」は5月末時点でわずか6玉しか確認されておらず、その発生確率は0.001%以下という驚異的な低さであり、まさに奇跡的な存在と言えるでしょう。
高品質を支える光センサー選果施設
この「幻」の誕生を可能にしているのが、JAが2004年から導入している「光センサー選果施設」です。ここでは、全てのメロンが1玉ずつ糖度や熟度を精密に測定されます。さらに、各玉にはQRコードが付与され、購入者はスマートフォンなどでそのメロンの測定結果を個別に確認できます。このような厳格な品質管理とトレーサビリティへの取り組みが、「おいしさの追求」という「幻」のコンセプトの原点であり、消費者から選ばれる産地作りの根幹となっています。
「極」や「輝」をも凌駕する希少性
JA茨城旭村では、「幻」以外にも、糖度18度以上の「極(きわみ)」、糖度16度以上の「輝(かがやき)」といった高品質なメロンを販売しており、これらも十分に希少です。「極」でさえ出現率は約1%ですが、「幻」はそれを遥かに下回る0.001%以下という圧倒的な希少性を誇ります。サングリーン旭の川上秀樹店長は、「いつ店頭に並ぶかは私たち直売所の人間にも予測不能です。運良く巡り合えた方は、それだけで非常に幸運です」と述べ、「幻」の類稀なる価値を強調しています。
1玉2万円 プレミアムな価値
昨年初めて販売された「幻」は合計10玉が出現しました。特製の桐箱に収められ、価格は1玉2万円と高価ながら、その希少性と最高品質から、自分へのご褒美や大切な人へのプレゼントとして購入する人が多いとのことです。
取材班、奇跡の「幻」に出合う
5月下旬、記者がサングリーン旭を訪れた際、まさに店頭に並ぶ直前の「幻」を発見するという幸運に恵まれました。早速、添えられたQRコードをスマートフォンで読み取ったところ、その個体の品種は「アンデス」で、糖度は驚きの20.4度という測定結果が表示されました。
店頭に並ぶ直前の茨城県鉾田市産「幻のメロン」(糖度20度超え)
春メロン限定の特別な存在
この「幻」が登場するのは、オトメ、アンデス、クインシー、エルソルといった春メロンが出荷される期間に限られます。7月頃から出荷が始まるアールス種では、一般的に糖度20度の基準に達する個体は確認されていないとのことです。
茨城県鉾田市が誇る「幻のメロン」は、糖度20度超、0.001%以下という驚異的な希少性を持つ、まさに奇跡の逸品です。サングリーン旭の川上店長は、「この特別な、奇跡のようなメロンとの出合いを求め、ぜひ一度直売所に足を運んでみてください」と来訪を呼びかけています。
参考
- 日本農業新聞