NHK連続テレビ小説『あんぱん』の第11週「軍隊は大きらい、だけど」では、北村匠海演じる嵩の軍隊生活が始まった。過酷な環境の中、妻夫木聡演じる上等兵の八木は、他の古兵とは一線を画す存在感を放っている。彼の存在と発言は謎に包まれ、嵩の軍隊生活、そしてその後の人生を大きく左右することが示唆されている。
軍隊での異質な存在感
嵩が入隊した小倉連隊は、古兵の馬場や甲田による理不尽な暴力が横行する過酷な場所だった。そんな中、おおらかな中隊長の島や班長の神野といった人物も登場するが、異彩を放つのが上等兵の八木だ。健太郎は「少なくとも4年兵」だと言うが、変わり者とされる八木に班長の神野も頭が上がらない様子は、ただならぬ存在感を示す。
北村匠海演じる朝ドラ『あんぱん』の主人公・嵩。軍服姿で過酷な軍隊生活に直面する様子。
井伏鱒二の詩集が繋いだ絆と嵩の先導者
第55話、八木が嵩に注目したきっかけは、嵩が密かに持っていた井伏鱒二の詩集だった。読書家である八木は詩集に「あの時から同じにおいを感じた」と語り、過酷な環境で内面に文学を求める者同士の特別な繋がりを示唆。金鵄勲章受章や特務機関出身の噂もある謎多き八木だが、公式情報でも戦後、嵩と思わぬ再会を果たし、その人生に大きな影響を与える存在とされており、彼が嵩の軍隊生活、そしてその先の人生の重要な先導者となることは間違いない。
軍国主義に抗う「ひきょう者たれ」の真意
中国・福建省の奥地にある駐屯地へ発つ前夜、生き残りに悩む嵩に八木は衝撃的な助言をする。「弱い者が戦場で生き残るには、ひきょう者になることだ。仲間がやられても仇を取ろうなんて思うな」。これは当時の軍国主義的な思想に真っ向から反する、自身の命を最優先せよというメッセージだ。この教えは、母・登美子が出征前の嵩にかけた「逃げ回ってもいいから。ひきょうだと思われてもいい!」という言葉とも通じる。戦時下で個々の命の価値を説く八木の言葉は、本作に流れる反戦・ヒューマニズムのテーマを体現している。
まとめ
『あんぱん』第11週に登場した上等兵の八木は、そのミステリアスな背景と、軍隊の常識に反する人間的な教えで、主人公・嵩に深く刻まれる存在となった。井伏鱒二の詩集を介した内面的な繋がり、「ひきょう者たれ」という命を守るための助言は、嵩が過酷な戦場を生き抜き、やがて迎える戦後の人生を歩む上で、かけがえのない羅針盤となるだろう。今後の物語で、八木と嵩がどのように再会し、八木が嵩の人生にどのような影響を与えていくのか、注目だ。
参考:https://news.yahoo.co.jp/articles/880c82b4b1de38d55f760ef952c03138c0096bb7