25年以上、5000人超の学生の声を集めてきた『大学図鑑!』が示す、関西の国公立大学の最新事情。特に京都大学、大阪大学、神戸大学からなる「関西御三家」のこの10年間の序列と校風の変化に焦点を当てる。私立に比べ安定しているとされる国公立大学だが、はたして関西トップ校の実態はどうなっているのか。
大学選びの参考となる『大学図鑑!』シリーズの写真
関西における国公立大学の強固な序列
国公立大学の序列は私立に比べて変化が起きづらい。関西においては京都大学、大阪大学、神戸大学の「関西御三家」が別格の存在感を放つ。これら3校は関東よりも国公立が強い関西でトップに位置し、京都、大阪、神戸とそれぞれの立地が大学のユニークなキャラクターを形成している。
「関西御三家」学生間に存在する微妙な意識差
ただし、これら3校が並列に語られることに学生たちは微妙な意識差を抱く。京大生は自らを圧倒的ナンバーワンと考え、阪大生は神戸大と同列視を嫌う声がある。一方で、入試難易度で劣る神戸大生は、勉強やサークルを含めた総合的なバランスで自分たちが優れていると考えるなど、「御三家」内では複雑な意識が絡み合っているのが実態だ。
10年間で加速した京都大学の「校風」の変化
基本的な序列に大きな変化はない中で、近年特に注目すべきは京都大学の校風が変化しつつある点だ。かつて「京大=変人」というイメージが強く、学生自身もその個性を誇りに思っていた時代があった。しかし、時代の流れとともに、より一般的で真面目なタイプの学生が京大の主流を占めるようになってきた。『大学図鑑!』の最新の学生の声は、この10年で変化がさらに加速したことを示唆している。
変化は質の低下か、それとも適応か
もちろん、校風の変化があったからといって、京都大学の質が低下したわけでは決してない。むしろ、優秀さを保ちつつ、現代社会のニーズや価値観に適応した結果と捉えるべきだろう。「京大がおとなしくなってつまらなくなった」といった意見も一部にはあるが、大学の主役はあくまで今の学生であり、彼らが伸び伸び活動できることが重要だ。ちなみに、まだ昔ながらの雰囲気を残す学生も京大には存在するため、京大に興味を持つ受験生は、学園祭などを訪れてそのような学生を探してみるのも一つの方法かもしれない。
結論
『大学図鑑!』の学生の声が示すように、関西の国公立大学における「関西御三家」の序列は安定している。しかし、特に京都大学の校風は、過去10年間で「変人」から「真面目」へと大きく変化した点が特筆される。これは時代の流れへの適応であり、大学選びでは難易度だけでなく、校風の変化も踏まえるべきだろう。
参照
本記事は『大学図鑑!2026』(2025年1月執筆)および『大学図鑑!2017』(2016年1月執筆)をもとに再編集したものです。