平口法相「売買春で買う側の尊厳も害される」発言、閣僚失言が波紋

高市早苗首相による「存立危機事態」発言が外交問題に発展する中、高市政権の閣僚による失言や失態が相次ぎ、政権運営に暗い影を落としています。特に、平口洋法務大臣の売買春に関する発言は、社会に大きな波紋を広げており、その真意と背景が問われています。

高市政権を揺るがす閣僚たちの失言・失態

高市首相の「存立危機事態」発言が外交問題へと発展し、いまだ収束の兆しが見えない状況下で、高市政権の閣僚たちによる失態が後を絶ちません。国民の信頼を揺るがす発言が続くことは、政権の安定性にも影響を与えかねない状況です。

11月8日には、黄川田仁志沖縄・北方担当相が北方領土に近接する納沙布岬を訪問した際、「一番やっぱり外国に近いところですから」と不用意な発言をし、各方面から批判を浴びました。さらに11月13日には、城内実経済財政担当相が参院予算委員会で賃上げの具体策について問われた際、「しっかりと……まあ、いろいろとあるとは……」「さまざまなやり方が……」などと、しどろもどろな答弁を繰り返し、具体性を欠く姿勢が露呈しました。

平口法相の「買う側の尊厳」発言とその波紋

これらの閣僚たちの失言・放言が相次ぐ中でも、特に注目を集めているのが平口洋法務相(77)です。平口法相は11月26日の衆院法務委員会において、売買春の問題に関して「性を買う側の尊厳も害される」という驚くべき答弁を行い、議論を呼んでいます。この質問は日本共産党の本村伸子衆院議員によって提起され、「売る側」のみが処罰対象となっている現行の売春防止法の後進性に疑問を呈するものでした。

本村議員はまず、売春防止法や人身売買禁止条約に規定される性売買と尊厳についての規定を確認した上で、平口法相に対し「誰の尊厳が害されるのか」と質問しました。この質疑の主な内容は以下の通りです。

本村氏「今大臣が言われた『売春が人としての尊厳を害し』というのは、買われる女性の尊厳が害されているという理解でよろしいですね」
平口氏「通常は女性ですが、女性だけでなくて、相手方の男性の方も尊厳が害されると考えております」
本村氏「性を買う者の尊厳が害されるということをおっしゃっているんですか」
平口氏「双方が該当するということです」
本村氏「性を買う側の尊厳はどのように害されるんでしょうか。買う側ですよ、買う側」
委員長「平口大臣、明確に答弁してください」
平口氏「性を買う側の方の尊厳も害されるということでございます」

衆院法務委で質問を聞く平口洋法相衆院法務委で質問を聞く平口洋法相

本村議員によると、売春防止法第一条に明記されている「売春が人としての尊厳を害し」という条文に関して、法務省とは以前から継続的に議論を行っていたといいます。本件に関する質問は事前に通告されていました。法務省との従来のやりとりでは、「(1)性を売る女性の尊厳が害される (2)社会全体の人としての尊厳が害される」という説明がなされていました。しかし、26日の質疑において平口法相が、法務省の説明には含まれない新たな見解を答弁したため、本村議員は大臣の考えを明確にするためさらに質問を重ねたのです。本村議員は、平口法相に現行の売春防止法の時代遅れな側面を認識し、法改正に前向きな姿勢を示すことを期待していましたが、そうした答弁は得られませんでした。

結論

高市政権下で続く閣僚たちの失言・失態は、政権への信頼を損ねるだけでなく、重要な政策議論の場である国会審議を停滞させる要因ともなっています。特に平口法相の売買春に関する発言は、人権と尊厳というデリケートな問題に触れるものであり、今後の法改正に向けた議論にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していく必要があります。閣僚一人ひとりの発言の重みを再認識し、より慎重な姿勢で職務に臨むことが、政権運営における喫緊の課題と言えるでしょう。