米価高騰、五ツ星マイスターが政府の備蓄米放出に言及「適正価格ではない」と懸念表明

東京・表参道にある精米店「小池精米店」の店主であり、五ツ星お米マイスターの資格を持つ小池理雄氏が、6月14日に読売テレビ・日本テレビ系で放送された情報番組「サタデーLIVEニュース ジグザグ」に生出演し、現在の米価高騰問題について専門家の立場から解説しました。消費者にとって深刻な問題となっているコメ価格高騰の背景と、それに対する政府の対応、そして今後の展望について語り、注目を集めています。

米価高騰の現状と政府の対応

現在、店頭でのコメ価格は5キロあたり4000円から5000円台で高止まりしており、家計への負担が増加しています。これに対し、小泉進次郎農林水産大臣は、市場価格の安定化を図るため、随意契約による政府備蓄米の放出を決定しました。これにより、一部では5キロあたり2000円前後という価格で店頭に並ぶケースも見られます。

米価高騰の専門家コメントが放送された読売テレビ社屋米価高騰の専門家コメントが放送された読売テレビ社屋

小池氏は、この政府の緊急的な対応について、「困った方がたくさんいたので、そういった意味では非常に評価すべきではないかな」と述べ、消費者の負担軽減に一定の効果があったことを認めました。

備蓄米の低価格販売への懸念

しかしその一方で、小池氏は政府が放出する備蓄米が5キロあたり2000円という価格で販売されている現状に対し、懸念を表明しました。同氏は、「ただ、5キロ2000円という値段だけが、今独り歩きしていて」と指摘。この価格帯での販売は、米の「適正価格」とはかけ離れており、「生産者からしたら生活できないぐらいの値段」だと説明しました。

このため、政府に対しては、今回の備蓄米放出価格が「緊急事態ということでやむを得ずこの金額にした」ものであり、「今だけだ、適正価格ではないんだ、一時的だ」という点を、ことあるごとに国民に向けて明確にアナウンスしてほしいと強く要望しました。誤った価格イメージが定着することを危惧しているのです。

望ましい価格帯と歴史的背景

小池氏は、全体の平均価格として、コメの値段が3000円台前半まで下がることが望ましいという見解を示しました。この価格帯は「そんなにめずらしい値段ではなくて、20年前ぐらいはそのくらいの値段だった」と言及。しかし、ここ10年ほどは米価が下がり続けていたため、今回の価格上昇について農家からは「今までが安すぎたんだ」という声も聞かれると語りました。

その上で、現在の4000円~5000円台という価格については、「高すぎるなと思っております」と改めて述べ、消費者と生産者の双方にとって持続可能なバランスの取れた価格水準の重要性を強調しました。今回の騒動を機に、コメの適正な価格と、日本の農業の持続可能性について議論が深まることが期待されます。

参考資料