テニスの全米オープンで、人気選手がファンの少年に手渡した帽子を横から強奪したとして非難され、ネット上で身元が特定されて炎上している男性が、「大きな過ちを犯した」と謝罪した。
英BBCが2日に報じたところによると、この男性はポーランドの道路舗装関連会社のCEOピオトル・シュチェレク氏。SNS(交流サイト)で「そんなつもりではなかったが、子どもの心を傷つけてしまい、ファンを失望させた」とつづり、謝罪した。
シュチェレク氏は先月28日、米ニューヨークのUSTAビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニス・センターで行われた男子シングルス2回戦で、試合に勝ったポーランドの人気テニス選手、カミル・マイクシャク(29)が観客席の少年に渡そうとした帽子を横取りし、妻のバッグに入れた。少年が「何をするんだ」と大声を上げたが、シュチェレク氏は無視していた。
この様子は中継のカメラに捉えられ、動画がネット上で拡散。ネットユーザーらはシュチェレク氏の身元を特定してネット上に公開し、謝罪を求めた。また、求人求職プラットフォーム「ゴーワーク」ではシュチェレク氏の会社に「低評価攻撃」が相次ぎ、会社の星評価が1.4まで下がった。
最終的にシュチェレク氏は「マイクシャク選手が帽子を私に渡してくれたと確信していた」とした上で「少年から意図的に記念品を奪うようなことをしていたと後から気づいた」と釈明した。
さらに「傷ついた少年とその家族、そして全てのファンと選手本人に心から謝罪する」「帽子は少年に返した。少しでも少年の気持ちが回復していることを願う」とつづった。
この件を巡っては、マイクシャクも後から状況を把握し、帽子を奪われた少年を探し始めた。マイクシャクは米紙ニューヨーク・ポストとのインタビューで「帽子を渡すときに少年を指し示したのだが、試合直後で疲れていた上、勝って興奮していたため、当時の状況を把握することができなかった」「おそらく(帽子を奪った)男性も感情が高ぶっていたため、そのような行動に出てしまったのだろう」と話した。
マイクシャクはその後、帽子を奪われた少年と再会し、あらためて帽子をプレゼント。マイクシャクはその様子を自身のインスタグラムで公開した。
キム・ジャア記者