米国ミネソタ州で州議会議員銃撃、1人死亡 政治的背景を捜査

米国ミネソタ州で、州議会議員が銃撃される事件が発生し、1人が死亡しました。14日に起きたこの事件について、ウォルズ州知事は記者会見で「政治的動機」に基づくものとの見方を示しています。捜査当局は現在、容疑者の行方を追っています。この事件は、米国の政治家を標的とした暴力行為として注目されています。

犠牲者と事件の詳細

犠牲となったのは、民主党所属のメリッサ・ホートマン州下院議員です。自宅で夫とともに銃撃され、残念ながら2人とも死亡が確認されました。一方、同じく民主党所属のジョン・ホフマン州上院議員も、自宅で妻とともに複数回撃たれましたが、病院で治療を受けており、命に別状はないとのことです。

容疑者は、警察官のような服装をして議員宅を訪れたと報じられています。事件現場近くに残された車両も、警察車両に似せてあったことが分かっています。捜査当局は、容疑者がまずホフマン議員宅を襲った後、ホートマン議員宅へ向かった可能性が高いとみて、詳しい足取りを調べています。

米ミネソタ州の銃撃事件で襲われたメリッサ・ホートマン下院議員(右)とジョン・ホフマン上院議員の写真米ミネソタ州の銃撃事件で襲われたメリッサ・ホートマン下院議員(右)とジョン・ホフマン上院議員の写真

捜査状況と残された証拠

事件の動機解明に向けた捜査が進められています。現場近くで発見された容疑者のものとみられる車両からは、襲われたホートマン、ホフマン両議員を含む複数の州議会議員の名前が記されたメモが見つかっています。これは、今回の犯行が計画的であり、政治家を意図的に標的とした可能性を示唆する重要な証拠とみられています。

捜査当局は、容疑者を57歳の男と特定しました。男は警察官を装って議員宅に侵入し、発砲した疑いが持たれています。現在、男の特定と逮捕に向けた全米規模での捜索が展開されています。

ミネソタ州議会議員銃撃事件発生現場付近で規制線を張る警察官ミネソタ州議会議員銃撃事件発生現場付近で規制線を張る警察官

事件への反応と背景

ミネソタ州のティム・ウォルズ知事は、記者会見でこの銃撃事件について、初期の捜査情報に基づき「政治的動機」によるものであると強く示唆しました。これは、米国内での政治的分断や対立が暴力事件につながる可能性を示唆しており、大きな波紋を広げています。

ドナルド・トランプ前大統領は、自身のソーシャルメディアを通じて「このような恐ろしい暴力は米国では決して許されない」と述べ、事件を非難する投稿を行いました。

ミネソタ州ブルックリンパークの銃撃現場近くで活動する捜査関係者ミネソタ州ブルックリンパークの銃撃現場近くで活動する捜査関係者

また、この事件を受けて、ミネソタ州内で予定されていた、トランプ政権による首都ワシントンでの軍事パレードに関する抗議デモが中止されました。これは、事件の緊迫した状況と、それに伴う治安への懸念を反映した動きです。

まとめ

今回のミネソタ州での州議会議員銃撃事件は、1人が死亡、複数人が負傷するという痛ましい結果を招きました。州知事によって「政治的動機」の可能性が指摘されており、米国内の政治情勢と暴力の関連性について改めて警鐘を鳴らす出来事となりました。捜査当局は現在も容疑者の行方を追っており、事件の全容解明が待たれます。

[参考文献] 共同通信, AP通信, Star Tribune