女優・野際陽子さんが2017年6月13日に亡くなってから、早くも8年の歳月が流れました。享年81でした。NHKアナウンサーとして活躍後、司会業を経て俳優の道へ進んだ野際さん。「キイハンター」でのブレイク後も、年齢を重ねながら多彩な役を演じ、日本を代表する俳優の一人となりました。
野際陽子さんと千葉真一さんが婚約を発表したのは1972年。二人の結婚生活は1994年に終止符を打ちましたが、野際さんは離婚会見で「出会った『キイハンター』の頃の友達に戻りたかった」と語り、現在の「卒婚」にも通じるニュアンスを感じさせました。野際さんの訃報に際し、千葉さんは当初一部メディアにコメントを出すにとどまりましたが、当時の「週刊新潮」のロングインタビューで、22年間を共にした元妻の素顔と胸中を初めて詳細に明かしました。
「仕事なんかやらなきゃ良かったのに」千葉真一の述懐
千葉真一さんは、野際陽子さんの逝去に対し、「ばぁか……。陽子にはそう言いたいね」と独特の口調で切り出しました。そして、「仕事なんかやらなきゃ良かったのに。もうちょっとしっかりと休めば良かったのに。俳優は身体が第一だろ。それにもう年なんだからさ……」と、元妻の仕事への情熱と体調を気遣う言葉を続けました。
実は、千葉さんは娘である女優の真瀬樹里さんを通じて、野際さんにこうしたメッセージを伝えていたといいます。しかし、野際さんがそれに応じることはなかったそうです。「まぁ、あの人は仕事が好きで好きでたまらなかったんだよ。だからそれを全うしたということになるのかな」と、千葉さんは野際さんのプロフェッショナリズムを偲びました。
野際さんが亡くなった2017年6月13日、千葉さんは地方にいました。訃報を知ったのは、娘の樹里さんからの電話だったそうです。千葉さんによれば、樹里さんは電話口で泣きじゃくり、大きなショックを受けていた様子でした。野際さんは亡くなる前に、娘の樹里さんに対し「ママの跡をしっかり継いでね」と伝えていたといいます。
その話を聞いた千葉さんは、樹里さんに「(野際さんが後を継いでほしいと)見るまで信じない」と応じたことを明かしました。それは、あまりに突然の別れに、本心から出た精一杯の言葉だったと振り返っています。
野際陽子さんと千葉真一さん、「キイハンター」共演時の写真
この千葉さんの言葉からは、長年連れ添い、そして別々の道を歩んだ元夫婦の間に流れる複雑ながらも深い情愛が垣間見えます。野際陽子さんの俳優としての人生と、それを最も近くで見守った一人である千葉真一さんの率直な思いは、多くの人々の心に響くでしょう。
【Source】
https://news.yahoo.co.jp/articles/f9c39603d6df7451d623093e20e0776c515eb906