だから日本人の給料は上がらなかった…1999年に大蔵省の”罠”にまんまとかかった大物政治家の名前


【図表】消費税の使途(令和6年度予算)

 ※本稿は、髙橋洋一『財務省 バカの「壁」』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

■消費税導入150カ国中、社会保障を目的としているのは日本だけ

 (第2回から続く)

 「消費税を下げることは検討しませんでした」

 減税政策のなかで国民が一番期待しているのは、言うまでもなく消費減税だ。実際、消費税の減税は所得減税や法人減税よりも大きな経済効果が期待できる。所得減税により可処分所得が増えても、すべてが消費に回るわけではなく、投資や貯蓄に回されてしまう。

 その点、消費減税はダイレクトに消費を喚起できる。何より国民の“実感”が大きい。

 ところが、たとえば岸田文雄前総理は、2023年11月1日の参議院予算委員会で「消費税を下げることは検討しませんでした」と、最初から考えていなかったことをしらっと告白した。あの“検討使”と称された岸田氏が、だ。ことほどさように、消費税に関しては多くの政治家が“思考停止”に陥る。しかも、それをてらいなく白状してしまう。

 消費減税はそれほど難しいことなのか。結論から言えば、難しくない。しかし、財務省がありとあらゆる手を使って阻止してくる。これの繰り返しなのだ。

 財務省が仕掛ける最大のワナが、「消費税は社会保障目的税」というもの。社会保障に支障をきたさないためにも、消費税を上げる必要があるというロジックだ。それを財務省の御用学者・御用記者(=通称ポチ)が、必死に喧伝する。

 だが、彼らは重要な事実をひた隠しにしている。消費税を導入している150カ国のうち、社会保障を目的としているのは日本だけ、という事実である。

 社会保障制度は通常、保険原理(収入と支出の均衡)をもとに運営されている。たとえば、平均寿命まで生きない人が払った保険料で、長生きした人の年金を賄っているのだ。したがって、どれだけ少子高齢化になろうとも、収支のバランスは調整される。

 実は、社会保障に税金は基本的には必要ない。社会保障に過度に税を投入すると、給付と負担の関係が不明確になってしまう。現に大蔵省も1990年代まで、「消費税は社会保障目的税ではない」と主張していた。



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