高齢化社会が進む日本において、親が住む実家が「ゴミ屋敷」化する問題は、多くの家庭で深刻な課題となっています。特に親が介護施設へ入所した後、残された子供たちがその片付けに直面するケースは少なくありません。そこには、単なる物の整理にとどまらない、親世代の物への執着、そして子供世代が抱える葛藤が存在します。本稿では、親が終身利用の施設に入所し、残された実家を片付けることになった50代の息子さんの事例を通して、その“孤独”と、片付けの先に希望を見出すための道のりを専門家の視点から探ります。
施設入所後も「帰る場所」としての実家:50代息子が直面する親の固執
依頼主である50代の男性が生まれ育った京都の3階建て戸建て住宅は、現在無人です。父親が終身利用の介護施設に入所したためで、男性は「親父が終身の施設に入ったんで、もうここには帰ってこないんですよ」と語ります。しかし、父親は「2年から3年ぐらいして体がよくなったら帰ってこれる」と信じており、「お父ちゃん、施設に入ったらもう出られへんで」という息子の言葉にも耳を貸しません。男性は、父親が現状を「旅行気分」と捉えていることに、やりきれない思いを抱えています。
誰もいなくなった実家は、父親の持ち物であふれかえっていますが、父親からは「いつかここに帰ってくるから、モノは置いといてくれ」と釘を刺されています。父親を説得し、生前整理を進めることは、結局できませんでした。しかし、施設から帰ってくる見込みがない以上、このまま放置しておくわけにはいきません。男性は、長年積み重ねられた親の物の山を前に意を決し、ゴミ屋敷清掃・不用品回収の専門業者である「イーブイ」に実家の片付けを依頼しました。これは単なる片付け作業ではなく、長年の親の物への執着と向き合い、家族の歴史を整理する試みでもあります。
息子の中学校時代のステレオなど、父親が「いつか使う」と大切にしていた物が積まれた部屋。高齢の親が住む実家がモノ屋敷化する典型的な例。
「いつか使う」が引き起こすモノ屋敷:生活空間を侵食する物品の山
この家は2階と3階が居住スペースとなっており、玄関から階段を上がった先の2階にはリビングとキッチンがあります。「いつか使う、とりあえず置いておく」が口癖だったという父親の言葉通り、家の中は物品で埋め尽くされていました。
キッチンには生ゴミこそ散乱していませんが、収納に収まりきらなかった調理器具、食器、そして生活雑貨が、床や作業台、あらゆる空いたスペースに所狭しと置かれています。機能するはずの空間は、物によってその役割を奪われ、日常生活に支障をきたすほどです。リビングには、推定50キロにもなる古い金庫が鎮座し、その重みが長年の物の蓄積を物語っています。
壁も例外ではありません。カレンダー、スーパーのチラシ、額に入れられた賞状、掛け軸、さらには阪神タイガースの記念タオルや旗が、わずかなスペースを見つけては掛けられ、貼り付けられています。これらの光景は、物が単なる所有物ではなく、父親の記憶や生活の一部として強く結びついていたことを示唆しています。こうした状態は、高齢者の片付け問題においてよく見られる傾向であり、物の多さが家族間のコミュニケーションを難しくする一因ともなっています。
まとめ:親のゴミ屋敷問題から見出す“希望”と専門家の役割
高齢の親が住む実家が「ゴミ屋敷」化する問題は、単に物が散乱している状態以上の、複雑な家族関係や親の心理が絡み合う深刻な社会問題です。特に、親が介護施設に入所した後も、物への執着が残り、子供が片付けに踏み切れないケースは少なくありません。
しかし、今回の事例のように、専門業者である「イーブイ」のサポートを得ることで、長年放置されてきた実家をリセットし、新たな生活へと踏み出す“希望”を見出すことが可能です。専門知識と経験を持つ業者に依頼することは、物理的な片付けだけでなく、精神的な負担の軽減にも繋がります。この問題に直面する多くの人々にとって、本記事が現状を打破するための一助となり、より良い未来へと繋がるきっかけとなれば幸いです。
参考資料
- YouTube「イーブイ片付けチャンネル」
- 東洋経済オンライン: 「あまりにマズい構造」ゴミ屋敷化も必然だった《過酷すぎる家の中》




