韓国ドラマには、観る者の心を揺さぶる様々な魅力があります。特に、過ぎ去った「懐かしい時代」を描いた作品は、その時代の空気感や人々の生き様を通して、深い感動を与えてくれます。今回は、そんな珠玉の韓国ドラマの中から、激動の時代に描かれた切なくも輝かしい青春の記録、『五月の青春』をご紹介します。
五月の青春 – 光州民主化運動下の切ないラブロマンス
この物語は、2021年に光州の工事現場で発見された身元不明の遺骨から始まります。そこから時間は遡り、民主化運動が激化していた1980年へ。激動の時代、光州民主化運動を背景に、それぞれの夢や希望を抱いた若者たちの姿が描かれます。ソウルから光州に戻った医大生ヒテと、看護師として働くミョンヒ。二人の運命的な出会いが、物語の中心となります。
五月の青春 主演 イ・ドヒョン(右)とコ・ミンシ(左)が向かい合うシーン
春の花が開くように始まったヒテとミョンヒの恋は、様々な事情に阻まれ、一度は別れを選ばざるを得なくなります。しかし、離れがたい魂は再び惹かれ合い、深く燃え上がります。一方で、時代は容赦なく彼らを巻き込み、不穏な空気がじわじわと日常生活に忍び寄ってくるのです。
飄々としたヒテが、信念を持って生きるミョンヒに感化されていく序盤のレトロで微笑ましい雰囲気から一転、物語が進むにつれて、愛を育む若者たちの日常に突然暴力が襲いかかる恐怖が、あまりにも残酷に描かれます。ロマンスと激動の時代背景が絶妙に絡み合い、観る者はハラハラさせられ、同時に深い切なさを感じずにはいられません。平和がいかに脆く、一瞬で崩れ去る可能性があるのかを、このドラマは鮮烈に見せつけます。
主演のイ・ドヒョンは、切れ長の眼差しと口角が上がった独特の微笑みで、ミョンヒを一途に愛する誠実でジェントルな好青年ヒテを魅力的に演じきっています。ヒロインを演じるコ・ミンシも、時代の波に翻弄されながらも信念を貫こうとするミョンヒを熱演しています。
韓国ドラマ 五月の青春 ヒロイン役 コ・ミンシの悲しげな表情
『五月の青春』は、激動の時代に一生で一度だけ、短くも鮮烈に輝いた二人の愛の記録です。その切実でかけがえのない恋は、40年の時を経ても色褪せず、観る者の心に深く刻まれます。この珠玉のドラマは、現在U-NEXTで独占配信されています。