イスラエル、イラン国内施設に直接攻撃 モサドが周到準備か

イスラエルは6月13日、イラン国内の核関連施設などへの直接攻撃を開始し、イラン革命防衛隊の幹部を含む複数の要人を殺害した。これは、イランに対するイスラエルのこれまでの行動とは異なり、かつてない規模の被害をもたらしたとされる。この大規模攻撃の背後には、対外情報機関モサドによる数ヶ月にわたる極秘の準備があったことが報じられている。その詳細が明らかになりつつある。

モサドによる周到な準備と「Xデー」

このイスラエルによるイランへの直接攻撃は、実に8カ月にもおよぶ極秘の準備期間を経て実行されたという。イスラエルや欧米メディアの報道によると、モサドの工作員が事前にイラン国内に潜伏し、攻撃に必要な無人機(ドローン)や精密誘導兵器を密かに運び込んだとされる。これらの兵器は、イラン各地に配置された車両の中に隠匿されていたという。さらに、首都テヘラン郊外には、攻撃を支援するための「ドローン基地」まで構築されていたと報じられている。

工作員たちは、この作戦実行のために綿密な訓練を重ね、「Xデー」の到来を静かに待ち構えていた。

未明の無人機攻撃が空爆の突破口を開く

攻撃は、予告なく未明に開始された。13日午前3時頃、イランのテヘランや中部ナタンツなど各地で同時多発的に爆発音が響き渡り、黒煙が立ち上るのが観測された。

イランのテヘランで発生したイスラエル攻撃による爆発の煙イランのテヘランで発生したイスラエル攻撃による爆発の煙

イスラエル軍の発表によると、この時間帯に200機以上の戦闘機が投入され、イラン国内の100カ所を超える標的を空爆したとされる。この大規模空爆に先立ち、各地に配置されていた自爆型ドローンが工作員によって遠隔操作で起動され、イランの防空システムや対空ミサイル陣地を攻撃した。この無人機による先制攻撃は、イランの対空能力に打撃を与え、後続のイスラエル空軍機による空爆を容易にする戦略的な狙いがあったとみられている。テヘラン郊外では、イスラエルを標的とする可能性があったとされるミサイル発射施設も破壊された。

要人の特定と精密な標的殺害

この攻撃で、イスラエル軍は軍幹部や核科学者を含む20人以上のイラン側要人を殺害したと発表している。殺害された要人の中には、夜間に自宅を空爆されて命を落とした人物もいたとされる。標的となった要人たちの動向は、事前に極めて詳細に把握されていたとみられており、今回の攻撃の精度の高さをうかがわせる事例となっている。

イスラエル首相「自衛のため、脅威を取り除くまで続ける」

イスラエルのネタニヤフ首相は13日の声明で、「我々は自衛のため、獅子のように立ち上がった」と述べ、イランの核・ミサイル開発がイスラエルにとってどれほど深刻な脅威であったかを改めて強調した。「ライジングライオン(立ち上がる獅子)」と名付けられたこの作戦は、「脅威を取り除くまで続ける」というイスラエルの強い意志を示すものとされている。

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