【防犯対策】「狙われやすい家」専門家が指摘する共通点とは?

近年、日本国内で強盗事件が多発しており、資産家だけでなく一般家庭も標的となっています。こうした状況に対し、犯罪学者の小宮信夫氏は、犯罪者が狙う場所には明確な共通点があると指摘します。そのキーワードは「入りやすく見えにくい」です。この記事では、最新の防犯理論に基づき、「狙われやすい家」や場所の共通点と、具体的な事例から読み解ける犯罪者の手口について解説します。

犯罪を引き寄せる「場所」の条件とは

犯罪は人が引き起こすものですが、熟練した犯罪者であっても、犯行に適した「場所」がなければ実行は困難です。犯罪者は「場所」に左右されるのです。長年犯罪学を研究してきた小宮氏によれば、犯罪が発生しやすい場所には「入りやすく」、かつ「見えにくい」という二つの条件が揃っています。言い換えれば、人目につきにくく、かつ簡単に侵入できる、あるいは接近できる場所が犯罪のターゲットとなりやすいということです。

実際の事件から読み解く「狙われた場所」

この「入りやすく見えにくい」という原則がどのように実際の犯罪に当てはまるのか、2022年5月から2023年1月にかけて発生した「ルフィ広域強盗事件」の一つ、大網白里市のリサイクルショップ強盗事件を例に見てみましょう。2023年1月12日、閉店間際の時間帯に「19時過ぎに行く」という電話を受けた男性店長が、19時閉店にも関わらず店を開けて待っていたところ、来店した男に突然暴行を受け、さらに別の男も加わり金庫の場所を迫られました。店長の抵抗と防犯ベルで犯人は短時間で逃走しましたが、なぜこの店舗が狙われたのでしょうか。

「入りやすく見えにくい」実例分析

専門家は、この事件が発生した場所と状況に「入りやすく見えにくい」条件が揃っていたと分析します。まず「見えにくい」点です。犯人が閉店時間後の来店を約束したことで、店内に他の客がいる可能性がなくなり、犯行の様子が外部から見えにくくなりました。また、リサイクルショップは現金だけでなく金券や高価なブランド品なども多く扱うため、金目のものを得る目的にも適していました。

次に「入りやすい」点。店舗は建物の1階にあり、隣接する駐車場には来店客専用スペースがありました。アパート住民専用駐車場とは異なり、見慣れない車が長時間停まっていても不審に思われにくく、犯人は下見や犯行時に堂々と車を停めることが可能だったのです。このように、時間帯の設定と周辺環境、店舗の特性が複合的に作用し、犯罪者にとって「入りやすく見えにくい」ターゲットとなったと考えられます。

駐車場が利用しやすく、犯罪者が目をつけやすい場所のイメージ駐車場が利用しやすく、犯罪者が目をつけやすい場所のイメージ

まとめ

強盗や侵入盗といった犯罪から身を守るためには、まず犯罪者が狙う場所の特性を理解することが重要です。「入りやすく見えにくい」というキーワードを念頭に、ご自身の住まいや普段利用する場所の周辺環境を見直してみましょう。どのような場所が狙われやすいのかを知ることは、効果的な防犯対策を講じるための第一歩となります。

参考資料: