松山千春、石破首相の2万円給付に「それは政治ではない」と苦言

歌手の松山千春氏(69)が15日、パーソナリティーを務めるFM NACK5「松山千春 ON THE RADIO」に出演し、石破茂首相が表明した国民1人あたり一律2万円の給付金について、自身の見解を述べた。物価高対策として検討されているこの現金給付に対し、松山氏は「それは政治ではない」と強く批判した。

歌手・松山千春氏、ラジオ出演時の写真歌手・松山千春氏、ラジオ出演時の写真

給付金方針変更への疑問

松山氏は、11日の党首討論で石破首相が給付金について検討していないと発言していたことに言及。「ところがここへ来て1人2万円の給付。いやあ本当に、政治家が平気でうそをつくような…俺は絶対子供たちにはいいことではないと思うもんな」と、首相の発言の一貫性のなさを批判した。公の場で述べた方針が短期間で変更されたことに対する不信感をあらわにした形だ。

支援対象への私見

今回の給付金について、「1人2万円、子供に対しても2万円、生活困窮者に対してはさらに、給付。これ、果たしていいことなのかどうなのか…」と問いかけた松山氏。自身の立場を踏まえ、「俺は正直言って、別に2万円は欲しくないです。俺たち何とか食っていけますから。本当にやっていけない人たちに手当をするというなら、それは本当にどうぞおやりください。我々もそれは願います」と述べ、自身のような「普通に稼いでる、生活している人間」は給付を必要としていないとの考えを示した。真に困っている人々への支援には賛成の姿勢を見せた一方、一律給付の必要性には疑問を呈した。

「集めた税金を渡すのは政治ではない」

さらに松山氏は、物価高対策としての現金給付のあり方そのものに異論を唱えた。「物価が高いからといって現金もらっても、それよりも物価を抑えることの方に努力するのが、政治じゃないですか」と指摘。国民から集めた税金を一律に分配する行為は、本来政治が果たすべき、経済全体をコントロールするという役割ではないとの持論を展開した。「集めた税金を皆に何万円と渡すのは、それは政治ではないと思いますよ」と繰り返し述べ、政策の方向性について根本的な問いを投げかけた。税金の使い道や、国民生活安定のための本質的な対策について、政治家がより熟慮すべきだと訴えた。

石破首相による給付金の説明

一方、石破首相は13日、この給付金について、国民1人当たり一律2万円の給付を参院選公約に盛り込むよう党幹部に指示したことを明らかにした。これに加え、子供1人につき2万円、住民税の非課税世帯の大人に2万円をそれぞれ上乗せし、対象者には計4万円を給付する方針。首相は官邸で記者団に対し、「決してばらまきではなく本当に困っておられる方々に重点を置いた給付金を、参院選の公約に盛り込むよう検討を指示した」と述べ、政策の意図を説明している。困窮者支援と一律給付を組み合わせることで、幅広い層に配慮した政策であることを強調した形だ。

政治への提言

松山氏は改めて、税金を一律給付するのではなく、物価抑制など国民生活の基盤を安定させるための根本的な対策こそが政治の役割であるべきだと強調。単なる金銭的なばらまきではなく、持続可能な経済政策を追求することの重要性を訴えた。石破首相に対し、「これからのことも、よくよく石破総理は考えてもらいたいなと思います」と、今後の政策決定への熟慮を願って自身の意見を締めくくった。


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