義母に追い出され25年 無支援の夫へ韓国人女性が離婚訴訟へ

韓国で、義母に家から追い出され、25年間にわたり夫からの経済的支援を一切受けずに2人の娘を育ててきた女性が、離婚と養育費、財産分与などを求めて訴訟を起こそうとしていることが明らかになりました。この問題は、6月11日にJTBCの報道番組「事件班長」で取り上げられ、大きな反響を呼んでいます。

結婚から追い出しまで

この女性は30年前に親族の紹介で結婚。結婚後、同居する義母と体の弱い義兄の世話をほぼ一人で任されました。義母からは「持参金も持ってこなかったくせに」と見下される言葉を浴びせられながらも、女性は夫に従い耐え続ける日々でした。結婚6年目で第一子である長女を無事に出産しましたが、義母からは「次は必ず男の子を産め」とプレッシャーをかけられました。ところが、第二子に知的障害があることが分かると、義母は「全てお前のせいだ」と女性を激しく責め立てるようになりました。

ある日、義母から「少し実家で休んできなさい」と言われ、女性は2人の幼い娘を連れて実家に戻りました。しかし、これは実質的な追放でした。家に戻ろうとしても、義母は扉を開けてくれませんでした。夫に窮状を訴えても、「母の怒りが収まるまで待て」と言われるだけで、具体的な助けはありませんでした。

25年間の過酷な養育期間

家を追い出された女性は、頼る当てがなく仕方なく実家で2人の娘を育てることになりました。夫は当時、月収1000万ウォン(約106万円)という高収入を得ていましたが、女性と娘たちに対し、生活費も養育費も一切支払いませんでした。

さらに困難が女性に降りかかります。女性の父親が体調を崩し、生活保護を受けることになりましたが、突然その支給が打ち切られてしまったのです。役所に理由を確認したところ、娘婿である夫の所得が多すぎるためだと言われました。女性が夫の経済状況を知ったのは、この時が初めてだったといいます。25年もの間、夫は経済的援助を一切せず、女性一人で家計を支え、娘たちの養育を担ってきたのです。

養育費ゼロで25年娘を育てた韓国人女性、テレビ番組で窮状を訴え養育費ゼロで25年娘を育てた韓国人女性、テレビ番組で窮状を訴え

娘からの後押しと夫の反応

長女は既に成人し、父親とはほとんど交流がありません。今では「父」とすら呼ばなくなっているそうです。最近働き始めた長女は、「母さん、もう離婚して自由に生きてほしい」と女性に離婚を勧めてくれました。娘の言葉に背中を押され、女性は夫に離婚を切り出しました。しかし、夫は「もう25年前に終わった関係だ。財産分与も慰謝料も払わない」と開き直り、かえって激高したといいます。

弁護士の見解と今後の展望

報道番組「事件班長」に出演したパク・ジフン弁護士は、この女性のケースについて、「離婚だけでなく、財産分与や慰謝料、過去の養育費も夫に請求できる可能性は十分にある。専門家の助けを借りて、速やかに訴訟に踏み切るべきだ」と助言しました。ヤン・ジヨル弁護士も、「養育費については時効の問題が絡む可能性があるが、女性が長年にわたり子育ての責任を一人で担ってきたことは、夫の財産形成に貢献したと主張する有力な根拠となる」との見解を示しています。

この韓国人女性のケースは、家族間の軋轢、離婚、そして養育費や財産分与といった法的な問題が複雑に絡み合った深刻な事例です。長年苦境に立たされてきた女性が、弁護士の支援を得て、夫に対して正当な権利を主張するための法廷闘争に踏み切るものとみられ、今後の裁判の行方に注目が集まっています。

参考資料