国民民主党が夏の参議院選挙比例代表候補として予定していた山尾志桜里元衆院議員の公認を見送った決定は、野党第一党である立憲民主党にとって他人事ではない。特に、立憲民主党が擁立を検討している蓮舫氏の参院選立候補を巡っては、党内で様々な懸念が浮上している。今回の国民民主党の判断とその背景は、「蓮舫氏、参院選立候補に潜むリスク」を浮き彫りにしているとも言えるだろう。
国民民主党による山尾氏公認見送りの経緯
国民民主党は、今夏の参院選比例代表に山尾志桜里氏を擁立すると5月に発表していた。しかし、発表以降、各社の世論調査で党の支持率が低迷する傾向が見られた。これを受け、山尾氏は自身に関する疑惑を払拭するため記者会見を開いたが、説明は曖昧で分かりにくいものに終始し、かえって批判を強める結果となった。特にSNS上での批判が拡大し、国民民主党は最終的に公認見送りの決断を下した形だ。
国民民主党の公認を見送られた山尾志桜里元衆院議員
蓮舫氏擁立を巡る立憲民主党内の葛藤
山尾氏への批判がSNSを中心に拡散した状況は、同様にSNS上で強い批判を受けることのある蓮舫氏にも起こりうる現象として、立憲民主党は注視している。蓮舫氏は現在、6月22日投開票の東京都議選で立憲民主党候補の応援に都内を精力的に回っており、この動きは参院選への出馬が確実視されていることを示唆している。党執行部内には彼女の出馬に積極的な意見が多い一方、参院側からはメリットとデメリットを比較検討し、悩ましいとの声が上がっている。
「知名度は高いが人気は低い」リスク
参院側が懸念を示す主な理由は、蓮舫氏が山尾氏と同様にSNSを中心に「嫌われキャラ」と見なされる側面があるためだ。高い知名度による選挙でのメリットよりも、拒絶反応によるデメリットの影響が大きくなる可能性が指摘されている。過去の東京都知事選で小池百合子氏に次ぐ2位にも入れず、本人も大きなショックを受けた経験がある点も、山尾氏が一時政界から距離を置いた状況と共通していると見られている。もし蓮舫氏が「知名度は高いが人気は低く、強く嫌う層がいる」存在であるならば、他の立憲民主党候補者への悪影響も考慮せざるを得ない。「山尾ショック」に続き、「蓮舫ショック」と呼ばれるような事態が起きることを恐れている状況だ。
参院選を控える蓮舫氏の現在の政治活動の様子
連合との関係と組織内候補への影響
さらに、蓮舫氏の参院選出馬にあたっては、連合傘下の労働組合の一部を蓮舫氏への支援組織として回す必要が生じ、その結果、労組の組織内候補が支援不足で落選する可能性が指摘されている。これも参院側が蓮舫氏の擁立に難色を示す要因の一つとなっている。
これらの状況を踏まえると、立憲民主党は蓮舫氏の高い知名度という強みを活かしたい一方で、SNSでの批判や潜在的な「嫌われキャラ」としてのイメージ、そして組織票の調整といった複数のリスク要因を慎重に検討する必要に迫られている。国民民主党の山尾氏を巡る判断は、立憲民主党にとって、人気と知名度、そして選挙戦略におけるリスク管理の重要性を改めて突きつける事例となっている。