米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手の元通訳、水原一平氏が、銀行詐欺などの罪で実刑判決を受け、アメリカ東部ペンシルベニア州の連邦刑務所に収監されたと報じられた。奇しくも大谷選手がピッチャーとバッターの二刀流として復帰した時期と重なる今回の収監報道は、特に受刑者に関する情報公開において、アメリカと日本の間に顕著な違いがあることを示唆している。
水原一平氏の肖像写真。米国連邦刑務所に収監された元通訳
米国における受刑者情報公開の透明性
水原氏は、大谷選手の口座からの不正送金により、禁錮4年9カ月、約1700万ドルの賠償命令を受けていた。報道によると、アメリカの連邦刑務所局(Federal Bureau of Prisons、BOP)は、水原氏が6月16日にペンシルベニア州アレンウッドにある「アレンウッド・ロー連邦矯正施設」に収監された事実を報道各社に確認したという。このように、受刑者が具体的にどの施設に収容されたかを当局が公式に公表することは、日本では通常考えられない対応である。
米国連邦刑務所局(BOP)公式サイトのスクリーンショット。受刑者情報が公開されている
連邦刑務所局(BOP)の「受刑者を探す」機能
アメリカではさらに進んで、BOPの公式サイト内に「受刑者を探す」(Inmate Locator)という公開データベースが存在する。ここでは、受刑者の登録番号があれば、収容されている施設を特定できる。登録番号が不明な場合でも、氏名、年齢、性別、人種などの情報から検索が可能となっている。実際に「Ippei Mizuhara」で検索を試みたところ、登録番号や年齢は表示されたものの、「NOT IN BOP CUSTODY」(BOP拘留中ではない)、「Release Date」(釈放される日)は「UNKNOWN」(不明)と表示された。一方、任意の登録番号で検索した別の例では、白人男性(26歳)の収容先(アトウォーター合衆国刑務所)や釈放日(2033年5月1日)といった詳細な情報が表示された。BOPサイトには「アレンウッド・ロー連邦矯正施設」を含む各施設の専用ページが設けられており、面会手続きなどが詳細に案内されている。
BOPサイトの「受刑者を探す」検索結果表示例。収容施設や釈放日などの詳細情報
日米間の情報公開に対する考え方の違い
今回の水原氏の収監報道とそれに伴う米国当局の情報公開は、受刑者のプライバシー保護と公共の知る権利のバランスについて、日米間で異なる考え方があることを改めて浮き彫りにしている。米国のように個人の収容先や釈放予定日といった情報まで公表されることは、日本の法制度や社会慣習においては極めて異例と言えるだろう。