災害リスク高まる今、「フェーズフリー」で備えるアイラップの力

政府の地震調査研究推進本部が、南海トラフ地震の30年以内発生率を「80%」に引き上げた今、首都直下地震、富士山噴火、さらに台風や局地的な水害など、日本の「災害リスク」は日々高まっています。こうした状況下で注目されているのが、「まさか」の時にも「いつも」のものを役立てる「フェーズフリー」という新しい防災の考え方です。日常と非常時を区別せず、普段使いの製品や食品を災害時にも活用することで、自然と防災力を高めることができます。

「フェーズフリー」とは?備蓄から活用へ

これまで、日常で消費しながら備蓄する「ローリングストック」という言葉は広く浸透してきましたが、「フェーズフリー」はさらに一歩進んだ概念です。これは、特別な防災用品でなく、普段から使っているものを非常時にも役立てるという考え方を指します。本記事では、この「備えずに、備える」ための具体策として、防災グッズとしても注目される「アイラップ」の活用術を、『決定版 アイラップBESTレシピ』(mako著/ワニブックス刊)より抜粋・編集し、徹底解説します。

災害時に光るアイラップ調理の真価

アイラップは、耐熱性を持つ袋のまま加熱・調理・保存が可能な家庭の頼れる味方です。食材と調味料を袋に入れて揉み込み、湯せんや電子レンジで加熱するだけで、ボウルもフライパンも不要な一品が完成します。このアイラップ調理の特性こそ、非常時に真価を発揮します。

水資源の節約:食器不要で洗い物なし

災害時には、貴重な水を少しでも節約することが求められます。アイラップ調理は、袋のまま調理し、そのまま食事ができるため、お皿や調理器具を汚す心配がありません。これにより、洗い物が一切出ず、限られた水資源を大幅に節約できます。

停電・断水時でも温かい食事:湯せん調理の強み

非常時は、冷たい食事が続き、体も心も疲れやすくなります。しかし、湯せん調理が可能なアイラップがあれば、ガスコンロと鍋一つで、温かいご飯やお惣菜を用意することができます。電気や水道が止まっていても、心身を温める食事が手軽に実現します。

効率的な同時調理:一つの鍋で完結

複数のアイラップ袋を同時に加熱できる点も、災害時に非常に役立つ特性です。一つの鍋でご飯、おかず、副菜などをまとめて作れるため、火や水の使用が制限される状況下でも、家族分の食事を一度に効率よく準備できます。

アイラップを活用した湯せん調理の様子。非常時でも温かい食事が手軽に準備できることを示す。アイラップを活用した湯せん調理の様子。非常時でも温かい食事が手軽に準備できることを示す。

「フェーズフリー」の視点から見ると、アイラップは日常の時短調理から災害時の命を繋ぐツールへと変貌します。普段からアイラップを使いこなすことで、意識せずとも高度な防災対策が実現し、いざという時の不安を軽減します。ぜひ日々の生活にアイラップを取り入れ、「備えずに、備える」ライフスタイルを始めてみませんか。

参考文献

  • mako著 『決定版 アイラップBESTレシピ』ワニブックス刊