国民民主党に広がる「山尾ショック」 公認取り消しが党勢に急ブレーキ 玉木代表への批判も

国民民主党が直面している「山尾ショック」は、参院選に向けて勢いをつけたい同党にとって大きな痛手となっている。特に、元衆院議員の山尾志桜里氏の参院選比例代表での公認取り消しを巡り、党内や関係者から玉木雄一郎代表の対応への批判的な声が上がっており、党のコア支持層の離反を招いているとされる。この記事では、この問題の詳細な経緯と波紋、そして関係者が明かす玉木代表のリーダーシップに対する疑問点に迫る。

国民民主党は5月、山尾氏の参院選比例代表での擁立を発表したが、わずか1ヶ月後の6月11日に公認取り消しを決定した。この決定の直前、6月10日に山尾氏が行った出馬表明会見では、過去の不倫疑惑に関する質問が集中した。彼女は2017年に報じられた男女関係について当時否定していたが、その後、不倫相手とされた男性の元妻が2020年に自死していたことが報じられ、最近になってその元妻の死装束がウェディングドレスだったという詳細が明かされ、再び問題視されていたのである。

会見に出席したベテランカメラマンの堀田喬氏は、当時の山尾氏について「会見の出来は20点か30点」と評しつつも、彼女自身は「8年前に言ったことは事実」と不倫を否定し続け、公認が白紙になるなどとは全く考えていなかった様子だったと語る。堀田氏は、山尾氏を含む国民民主党の比例候補数名を「汚物まみれの4人衆」と揶揄した人物だが、会見後、山尾氏に街頭演説での注意点などを忠告した際、「分かりました」と力強く答えていたことを明かしている。

国民民主党の玉木雄一郎代表と参院選比例候補だった山尾志桜里氏国民民主党の玉木雄一郎代表と参院選比例候補だった山尾志桜里氏

公認取り消しを巡る玉木代表への不信感

理由は何であれ、直前まで出馬に強い意欲を見せていた山尾氏にとって、今回の公認取り消しはまさに寝耳に水だったと言えるだろう。山尾氏を知る国民民主党の関係者は、公認取り消し後の玉木代表の対応について厳しい見方を示す。「そもそも山尾さんは国政に復帰するつもりはなかった。しかし、昨年来、玉木さんから『戻ってきてほしい』『一緒にやろう』と非常に熱心に口説かれ、散々悩んだ末に再挑戦を決意した経緯がある」と述べた上で、「それなのに、公認取り消し後も玉木代表から正式な謝罪はなく、ショートメッセージで『ごめんね』と一言送っただけで、その後は一切連絡がないと聞いている」と、その対応の無責任さを指摘する。

“美魔女”と呼ばれた頃の山尾志桜里氏の肖像写真“美魔女”と呼ばれた頃の山尾志桜里氏の肖像写真

こうした玉木代表の対応を巡る不信感は、今回に限ったことではないという声もある。昨年の衆院選で国民民主党候補として岡山1区から出馬した佐々木雄司現赤磐市議(54)は、自身の経験を語る。佐々木氏は赤磐市議を3期10年務めた後の2023年、党岡山県連の幹部から衆院選への出馬を打診された。しかし、岡山1区には自民党の逢沢一郎衆院議員という強固な地盤を持つ候補者がおり、小選挙区での当選見込みは低いと判断し、当初は固辞を続けていたという。それに対し、県連側は小選挙区での立候補に加え、「比例単独1位でも登録する」という重複立候補を提案し、佐々木氏の出馬を促したとされる。この経験からも、玉木代表や党執行部の公認や候補者への対応に疑問が呈されている。

「山尾ショック」が党に与える影響

今回の「山尾ショック」は、国民民主党が抱える候補者選定の問題や、問題発生時の党首のリーダーシップに対する疑問を浮き彫りにした。参院選を間近に控える中で、公認候補の取り消しという異例の事態は、党のイメージダウンにつながりかねず、党勢拡大を目指す上で大きな逆風となる可能性が高い。特に、党を支えるコア支持層の間に広がるとされる不信感は、選挙結果に直接的な影響を与える恐れがある。玉木代表の今後の対応や、党としてどのようにこの難局を乗り越えていくのかが注目される。