台風対策で大型ドローン活用へ 東京都、西多摩地区で実験


 9~10月に東京を襲った一連の台風・豪雨災害で、都は29日、防災対策の検証結果をまとめた。避難所の設置や情報発信などに課題があったことから、都有施設を避難先としてさらに活用するほか、西多摩地区では大型ドローン(無人機)による物資運搬の実証実験を始めることが盛り込まれた。

 台風15、19、21号で、都内では死者2人、住宅被害は延べ約4千戸、農林水産物の被害試算は計約36億円に及んだ。都は今月6日に大規模風水害検証会議(本部長・多羅尾光睦副知事)を立ち上げ、各自治体にヒアリングするとともに、ネットを通じて都民アンケートも実施した。

 検証によると、初動体制の整備、防災広報、避難対策など大きく7つの課題が挙がった。対策としては、これまで備蓄対象としていなかったブルーシートや土嚢(どのう)袋をそれぞれ2万5千枚、26万枚用意することを決めた。

 一部の避難先で避難者が集中したこともあり、江東5区を中心に広域避難を検討するための作業部会を立ち上げることも決定。情報伝達に不可欠なスマートフォンやタブレット端末の充電環境を確保するため、一時滞在施設で充電できる場所を221カ所確保する。

 台風19号では、都道が崩落し奥多摩町の日原地区が孤立。重量2キロを運べる小型ドローンを使って初めて物資を運搬した事例があった。今回の災害を教訓に、情報収集の点で、島嶼(とうしょ)部を中心に計11地区でドローンをあらかじめ配備する。山間部の多い西多摩地区ではモデル地区を選定し、大型ドローン(重量20~30キロ運搬可)を使い事前のルート確保など、防災訓練で検証する事業を実施する。

 さらに、一部自治体ではホームページにアクセスが殺到し閲覧不能になる事態も生じたことから、都はアクセス集中時の改善ガイドラインを作成する。



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