都議選杉並区の激戦:不記載議員・元同僚・連立相手の衝突

参議院選挙への前哨戦と位置付けられる東京都議会選挙は、6月22日に投開票日を迎えます。全42ある選挙区の中でも、特に最大の激戦区と言われているのが杉並選挙区です。定数6に対し、実に17人もの候補者が乱立し、「身内」同士が激しくぶつかり合う構図となっています。ある在日コリアン3世候補と、「外国人優遇反対」を訴える候補の間では深刻な対立が生じ、警察が出動する騒ぎまで発生しています。

東京都杉並区高円寺駅前で発生した都議選候補者間のトラブル、警察官が出動し混乱する選挙活動の現場東京都杉並区高円寺駅前で発生した都議選候補者間のトラブル、警察官が出動し混乱する選挙活動の現場

都議選に向けた主要政党のリーダーたち:小池百合子都知事(都民F)、石破茂首相(自民)、野田佳彦代表(立憲)。都議選に向けた主要政党のリーダーたち:小池百合子都知事(都民F)、石破茂首相(自民)、野田佳彦代表(立憲)。

自民党「不記載議員」の対決

この杉並区の選挙戦で、特に注目されているのが、政治資金の不記載問題に関わったとされる「自民・不記載議員」同士の争いです。ある担当記者は、「都民ファーストの茜ヶ久保嘉代子氏が一歩リードしているものの、他の候補は混戦状態。中でも、自民党の不記載問題に関わる候補者同士の争いは目が離せない」と指摘します。

自民党の不記載議員の一人である小宮安里氏は、幹事長経験者だったため党の公認を得られず、無所属での立候補を余儀なくされました。一方、もう一人の早坂義弘氏は、幹事長経験がなかったことから公認を得て今回の選挙に臨んでいます。当選5回の早坂氏が先輩にあたり、当選4回の小宮氏とこれまで二人で共に当選を重ねてきましたが、今回の選挙戦は様相が異なります。

担当記者によると、「今回はどちらか一方が落選してもおかしくない厳しい展開」とのこと。杉並はもともとリベラルな傾向が強い土地柄であり、不記載問題への批判は厳しく、両候補とも苦しい選挙戦を強いられています。

国民民主への転身候補と元同僚の戦い

さらに、小宮氏はもう一人の「身内」とも呼べる候補と戦っています。それは国民民主党の新人候補、国崎隆志氏です。実は、小宮氏と国崎氏は、かつて杉並を地盤としていた石原伸晃元自民党幹事長の秘書を共に務めた元同僚という関係です。

国崎氏は2019年の杉並区議会議員選挙で自民党から初当選しましたが、2023年に落選。今回は国民民主党からの出馬となりました。そのため、自民党の支援者からは「裏切り者」といった厳しい声も上がっているといいます。

国民民主党にはかつて勢いがあり、国崎氏も善戦が予想される時期もありましたが、最近は「山尾ショック」や玉木雄一郎代表の失言などが重なり、支持率が急降下しています。これにより、国民民主党全体の勢いにかげりが見え始めており、国崎氏も苦しい戦いを強いられています。

公明党の状況

これまで杉並区で議席を守ってきた公明党も、今回の選挙では安泰とは言えない状況にあるようです。公明党は自民党と連立政権を組んでいることから、自民党への逆風を間接的に受けており、陣営は懸命に引き締めを図っていると報じられています。

杉並区の都議選は、このように自民党内の対立、元同僚の政党を跨いだ戦い、そして連立相手への逆風など、様々な要素が複雑に絡み合う混沌とした選挙戦となっています。多くの候補者がひしめき合うこの激戦区の行方は、都議選全体の大きな注目点の一つです。