イスラエルとイラン間の軍事衝突がエスカレートし、中東情勢の緊迫度が増しています。この状況について、共同通信の太田昌克編集委員がワシントンの高官への取材に基づいた分析を展開。衝突の背景にあるイスラエルの思惑、そして今後の展開と潜在的な危険性について解説します。
中東情勢「newsランナー」より:緊迫するイスラエル・イラン衝突の背景
共同通信 太田昌克編集委員:ワシントン高官取材に基づくイスラエル・イラン分析
イスラエルの狙いはイラン体制転換か?米イラン核協議との関連
イスラエルの攻撃は、イランの最高指導者ハメネイ師を支える基盤である「革命防衛隊」の司令官殺害を皮切りに、革命防衛隊に対する執拗な攻撃へと続いています。この一連の行動には、イスラエル側がイランの体制そのものを転覆させようという強い思惑がある可能性が指摘されています。
攻撃のタイミングも重要視されています。太田編集委員が先月末に米国の核政策担当高官と意見交換した際、その高官はイラン情勢が近く「弾ける」こと、そしてもしトランプ大統領が中途半端な核ディールを結んだ場合、「イスラエルのネタニヤフ首相はイランを攻撃するであろう」と予測していました。
実際に米国とイランが核開発を巡る協議を進める中でイスラエルが攻撃に踏み切った背景には、イスラエルがトランプ大統領とイランの間で「いい加減なディール」が成立する前に、それを先んじて阻止しようとした可能性が高いと考えられます。イランはウラン濃縮を主権国家の権利と主張していますが、トランプ大統領の政策が揺れ動く中、イランの主張が認められてしまうことへのイスラエルの懸念があったと見られます。
※IAEA(国際原子力機関)は、核兵器の原料となる90%以上の濃縮度に近づく60%の高濃縮ウランをイランが増やしていると報告しており、核開発問題は依然として深刻な懸念事項です。
緊迫化する衝突、回避への鍵は?週内停戦の重要性
このまま両国の衝突が激化すれば、イスラエルには多くの米国市民も滞在しているため、米国も紛争への介入を避けられなくなる危険性があります。今後の展開は、トランプ大統領がネタニヤフ首相に対して、これ以上のエスカレーションを控えるようどこまで強い圧力をかけられるかにかかっていると言えます。
イランへの働きかけには、これまで交渉ルートを持っていた欧州諸国(イギリス、フランス、ドイツ)がパイプ役となり得ます。さらに、ロシアや中国といった大国が関与することで、イランに対するより効果的な圧力をかける必要があると分析されています。
国際社会の努力が実らなければ、今週中に停戦合意に至らない場合、中東地域全体が「大惨事になる危険性」が現実のものとなる可能性が警告されています。衝突の更なる拡大は、地域全体の不安定化と人道的危機を招きかねません。
中東情勢「newsランナー」より:イスラエル・イラン紛争激化による「大惨事」の危険性
イスラエルとイランの衝突は、イラン体制転換の可能性、核開発問題、そして米国および国際社会の対応が複雑に絡み合った重大な局面を迎えています。早期の停戦と、関係各国の建設的な関与が、中東地域の大惨事を回避するための喫緊の課題となっています。
共同通信・太田昌克編集委員による分析、関西テレビ「newsランナー」より。
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