『ばけばけ』がこだわる「普段の朝ドラではしないこと」とは? “目に見えていない部分”が見たくなる仕掛け


【場面写真】「朝ドラの常識」を捨てた、スモークと影が織りなす幻想的なシーンカット集

 その一方で、主人公・松野トキ(髙石あかり)をはじめ、登場人物は出雲弁を口にしてはいるものの、どことなく現代的な喋り方も特徴的だ。日本の歴史を感じられる一方で、“今風”も垣間見える本作ではあるが、どのように制作されているのか。本作の制作統括を務める橋爪國臣氏に話を聞いた。

影を大切にした朝ドラ

 具体的にこだわった部分として「今回、光やレンズ、カメラの選定などにはこだわっていて、普段の朝ドラではしないことをしています」という。

「朝ドラは全体を明るくして、隅々までハッキリと見せ、役者も綺麗に映るようなライティングが基本です。ただ、本作では“影”をとても大切にしています。『ばけばけ』は、影の部分にいろいろな感情が潜んでいるため、登場人物のすれ違いが起きていく。

 また、目に見えていない部分が大切なものだったりすることも本作の特徴です。“見えていない何か”が本作の核で、それが恨めしかったり、素晴らしかったりすると考えています」

 続けて、影の作り方として「ただただ真っ暗にすればいいわけではない。明るさとのコントラストがあってこそです。また、真っ暗ではなく、クリーミーな黒色になるように、演出、照明、カラリストと目指していきました」と説明。光ではなく影を意識しているからこそ、コントラストに美しさや怖さを感じられるのだろう。



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