米イラン衝突緊迫化、米国が軍事介入を本格検討 – 中東情勢の行方

【ワシントン、イスタンブール時事】米国のトランプ大統領は17日、ホワイトハウスで国家安全保障会議(NSC)を開き、イスラエルと交戦状態にあるイランへの軍事介入について本格的な検討に着手した。米国が空爆を示唆する中、イラン側は中東地域の米軍基地へのミサイルによる反撃を構え、紛争拡大の懸念が急速に高まっている。トランプ氏は18日、記者団に対し、イラン攻撃に関して「やるかもしれないし、やらないかもしれない。誰も分からない」と述べ、依然として不確実性を示唆した。

米国の検討とトランプ氏の姿勢

トランプ大統領は17日、自身のSNSに「無条件降伏!」「イラン上空を全面的に制圧した」と投稿し、強硬姿勢をアピールした。また、イラン中部フォルドゥの地下深くに位置するウラン濃縮施設に対し、米軍の地下貫通型爆弾「バンカーバスター」による攻撃を検討していると報じられている。ホワイトハウス地下のNSC会合には、バンス副大統領、ルビオ国務長官、ウィトコフ中東担当特使らが出席し、イランの核開発完全放棄に向けた外交的解決策と、軍事的な選択肢の両面が協議された模様だ。トランプ氏はイスラエルのネタニヤフ首相とも電話会談を行い、これらの検討内容を共有した模様だ。

米イラン情勢について協議するトランプ米大統領(2025年6月16日、カナダ・カナナスキスにて)米イラン情勢について協議するトランプ米大統領(2025年6月16日、カナダ・カナナスキスにて)

イラン最高指導者の反発

これに対し、イラン最高指導者のハメネイ師は18日に公表されたメッセージの中で、トランプ氏の言動を「イランやその歴史を知る賢明な人間は、脅すような言葉は使わない」と強く非難した。さらに、米国が軍事介入に踏み切れば「取り返しのつかない被害を招く」と警告し、「戦争には断固として立ち向かい、決して屈しない」と、徹底抗戦の姿勢を表明した。

イスラエルによるイラン攻撃の状況

一方、イスラエル軍は18日の声明で、戦闘機50機以上がイランの首都テヘラン周辺で、ウラン濃縮用の遠心分離機関連施設やミサイル製造施設などを空爆したと発表した。地元メディアによると、イスラエル軍報道官は13日の交戦開始以来、1100以上の標的を攻撃したことを明らかにしている。

米軍基地へのイランの報復態勢

こうした状況下、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は17日、イランが米国の軍事介入に備え、中東に展開する米軍基地への反撃態勢を整えていると報じた。バーレーンにある米海軍第5艦隊司令部や、カタールにある中東最大の米空軍基地などが標的となる可能性があり、中東地域に約4万人の米軍関係者が展開しており、その影響は大きい。

トランプ氏の対話の可能性と今後の焦点

圧力を強めるトランプ大統領だが、17日にはハメネイ師を「少なくとも今は排除(殺害)しない」と述べ、体制転換を目指すイスラエルのネタニヤフ首相の強硬路線とは一線を画した姿勢を見せた。さらに、バンス副大統領やウィトコフ中東担当特使をイランに派遣し、協議を行う可能性も示唆しており、事態の推移には外交と軍事の両面から注目が集まる。

結論

米国によるイランへの軍事介入が現実味を帯びる一方、イラン側も報復を示唆しており、米イラン間の緊張は極めて高いレベルにある。イスラエルによる攻撃も継続されており、中東地域全体の情勢がさらに不安定化する懸念が強まっている。今後の焦点は、トランプ政権が外交的な解決策を優先するのか、あるいは軍事的な行動に踏み切るのか、そしてそれに対するイランの対応となるだろう。事態の行方は依然として予断を許さない状況だ。

参照元

  • 時事通信
  • 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)
  • イスラエル軍声明
  • イラン最高指導者ハメネイ師メッセージ
  • トランプ米大統領SNS投稿
  • トランプ米大統領記者団発言
    (上記は記事中の情報に基づき列挙)