イランとイスラエルの軍事的な応酬が依然として続く中、米国は両国間の衝突に対し、その対応をまだ最終的に決定していない模様だ。特に、米国のトランプ大統領はイランへの具体的な行動について明言を避ける一方で、イランの最高指導者ハメネイ師は米国からの無条件降伏要求を拒否する姿勢を改めて示した。中東情勢の緊張がさらに高まっていることがうかがえる。
米国、イランへの対応は「未決定」 核施設攻撃も検討示唆
トランプ大統領は18日、イランへの対応について「まだ決定していない」と述べた。イスラエルの軍事作戦への参加について記者団に問われると、「やるかもしれないし、やらないかもしれない。私が何をするかは誰も知らない」と述べ、軍事的な選択肢を含め、様々な可能性を検討していることを強く示唆した。内部協議に詳しい情報筋は、イスラエルと連携したイランの核施設攻撃も検討対象に含まれると伝えている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、トランプ氏が攻撃計画を承認したが、イランが核開発計画を放棄するか見極めるため、最終命令は見送ったと報じた。大統領はイラン当局者との会談可能性にも言及したが、「そのような会談を行うには、少し遅すぎる」との見方を示した。また、イスラエルの攻撃によるイラン体制崩壊の可能性に触れ、「何が起きてもおかしくない」と述べた。地下にあるフォルドゥ核施設の破壊能力は米国のみが有するが、「そうするという意味ではない」と付け加えた。軍事専門家は、このような地下施設破壊には米軍支援が必要な可能性が高いと指摘している。
国際社会の反応:イランは降伏拒否、欧州は核協議へ
一方、イランの最高指導者ハメネイ師は18日、トランプ大統領がイランに降伏を求めたことに対し、強く反発した。ハメネイ師は、米国によるいかなる軍事攻撃も「取り返しのつかない重大な結果」をもたらすと警告し、無条件降伏要求は決して受け入れないと言明した。また、イランに平和も戦争も外部から押し付けることはできないとの立場を強調した。外交面では、ドイツの外交筋が明らかにしたところによると、独仏英の外相が20日にジュネーブでイラン外相と核協議を行う見通しだ。これは、イランに対し核開発計画を民生目的に限定することを確約させることを目的としているという。
イスラエル、イラン国内の標的攻撃を継続 ドローン迎撃も
イスラエルはイラン国内の標的への攻撃を続けていると発表した。イスラエル空軍はイランの警察本部を破壊したとし、また過去24時間でイスラエル軍の戦闘機数十機がテヘラン周辺やイラン西部の複数の標的を攻撃したことを明らかにした。攻撃対象には、ミサイルの原材料、部品、製造システムを生産している施設が含まれるという。
テヘランでイスラエル軍の攻撃により発生した煙イスラエル国防軍は19日未明にイスラエル北部でサイレンが鳴り響いた際、イランから発射されたドローン(無人機)を迎撃したと発表した。さらに、ヨルダン渓谷地域で別のドローンを迎撃したことも明らかにしている。ネタニヤフ首相は18日の動画で、イランの核施設と弾道ミサイルがもたらす脅威の排除に向けて「一歩一歩前進している」と述べた。「われわれは核施設、ミサイル、拠点、政権のシンボルを攻撃している」と述べ、攻撃の対象が多岐にわたることを示唆した。また、ネタニヤフ首相は「イスラエル国家の偉大な友人」であるトランプ大統領の支持に謝意を示し、継続的に連絡を取り合っていることを明らかにした。
緊張高まる中東情勢
このように、イランとイスラエルの軍事的な衝突が続く中で、米国の対応は不透明さを残しつつも、軍事的な選択肢が現実的に検討されていることが示唆された。イランは米国からの圧力に対して断固として抵抗する姿勢を見せており、状況はさらに複雑化している。外交努力も並行して行われているものの、中東地域の緊張は極めて高い状態が続いている。
出典
ロイター通信