米国のトランプ大統領は13日、ウクライナに対し、地対空防空システム「パトリオット」を追加で供与する考えを明らかにしました。首都ワシントン近郊で記者団に対し、ロシアのプーチン大統領を改めて強く批判し、「口では優しいが、夜になると皆を爆撃する。それは好きではない」と述べ、ウクライナが「切実に必要としているパトリオットを送る」と表明しました。
ウクライナへのパトリオット供与方針について記者団に語るトランプ米大統領(2024年7月13日、ワシントン近郊)
パトリオット供与の規模と費用負担
トランプ氏は、ウクライナに送るパトリオットの具体的な数については「まだ決めていない」と述べつつも、ウクライナの防衛にとって不可欠なシステムであるとの認識を示しました。この追加供与にかかる費用については、米国ではなく、欧州連合(EU)が負担すべきだとの見解を改めて強調しました。また、翌14日には、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長と会談する予定であることも明らかにしています。
ウクライナへの追加供与が検討されている米国の地対空ミサイルシステム「パトリオット」(資料写真)
対プーチン姿勢の硬化
大統領に返り咲いて以降、トランプ氏はプーチン大統領とこれまでに6回にわたって電話で協議を重ねてきました。しかし、ウクライナでの軍事行動を巡る停戦交渉において、プーチン氏が一切の強硬姿勢を崩さないことに対し、トランプ氏の不満が次第に募っている状況です。
最近の具体的な批判発言と制裁検討
例えば、7月3日の電話協議では、トランプ氏が軍事行動の早期停止を強く求めたのに対し、プーチン氏がこれに応じない姿勢を見せた模様です。さらに、7月8日の閣議では、「我々はプーチンから数多くのでたらめを聞かされている」「プーチンに不満を持っている。彼は多くの人々を殺しているからだ」と、以前にも増して強い批判のトーンで述べました。連邦議会で準備が進む対ロシア追加制裁法案についても、「真剣に検討している」と言及しています。
その他のウクライナ支援動向
なお、ウクライナへの全体的な武器支援としては、7月初旬に一時停止していた一部の武器供給を既に再開することを承認しています。今回のパトリオット追加供与の検討についても、9日には記者団に対し、「とても高価なシステムだが、検討している段階だ」と語っていました。
トランプ氏によるウクライナへのパトリオット追加供与の表明と、プーチン大統領への強い批判は、今後の米国による対ウクライナ支援および対ロシア政策の方向性を示すものとして注目されます。特に、費用負担をEUに求める点や、プーチン氏との対話路線から批判へと舵を切っている様子は、今後の動向を注視する必要があります。
[出典] 毎日新聞