人口の16倍を超える観光客が押し寄せるスペイン・バルセロナで、「観光客は我々の地域から出て行け!」と訴える住民による大規模な抗議デモが発生しました。世界的な観光地として知られるこの街が直面している、オーバーツーリズムの深刻な現実が浮き彫りになっています。
デモでは、銃声のような爆竹音や、有名ブランド店への発煙筒の投げ込みといった過激な行動も見られました。特にホテル前では、参加者がテープを張って観光客の立ち入りを阻止しようと試み、従業員との間で小競り合いに発展する場面もありました。デモ参加者からは「この水で顔を洗いやがれ!」といった激しい言葉が飛び交い、対する従業員も「水かけやがってこの野郎!俺は仕事をしているんだ!」と応じるなど、緊迫した状況が伝えられています。
バルセロナの街中で発煙筒を投げ、オーバーツーリズムに抗議するデモ参加者たち
この怒りの背景には、行き過ぎた観光が住民の生活を圧迫している現状があります。昨年、バルセロナを訪れた観光客は実に2600万人に上り、これは人口の16倍以上という異常な数値です。これにより、アパートが次々と観光客向けの短期賃貸物件に改装され、長年住んでいた住民が住居を追われるケースが後を絶ちません。さらに、観光客に合わせた物価の上昇は、住民の生活費を直撃しています。
バルセロナのホテル前で観光客立ち入り阻止を試みるデモ隊と従業員の小競り合い
デモ参加者の一人は、「住む家が奪われ、街では歩き回れるスペースすらありません」と窮状を訴えています。観光客の増加は経済効果をもたらす一方で、住民の生活環境の悪化、住宅問題、物価高といった負の側面を深刻化させており、今回のデモは、持続可能な観光のあり方について改めて問いを投げかけるものとなっています。
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