仁川ホテルで清掃員がエレベーターに1時間半超閉じ込め、ホテルが119通報を阻止か

韓国・仁川市内のホテルで、清掃作業員の女性が従業員用エレベーターに長時間閉じ込められる事故が発生しました。女性はホテル側が緊急通報(119番)を妨害し、救助が遅れたと訴えています。この事案は、施設の安全管理体制や緊急時の対応に関する問題を提起しています。

事故の概要と被害

聯合ニュースの報道によると、事故は先月26日午後5時35分頃に発生しました。仁川市内のホテルで働く50代の清掃作業員の女性が、退勤のため17階から従業員用エレベーターに乗車した際、1階と2階の間で突然停止し、その衝撃で転倒。女性は腰や首などに負傷し、現在も病院で治療を受けています。

仁川のホテル従業員用エレベーター事故で閉じ込められた状況のイメージ仁川のホテル従業員用エレベーター事故で閉じ込められた状況のイメージ

ホテル側の対応と救助の遅れ

エレベーター内のインターホンは使用不能だったため、女性は携帯電話で夫と同僚に連絡を取りました。連絡を受けた同僚が直ちにホテル側に事故を報告し、119番への通報を要請したといいます。しかし、女性や同僚の主張によれば、ホテル側はエレベーターの管理会社にのみ連絡。さらに、同僚が自ら119番に通報しようとした際、ホテルの関係者は「119に電話しても解決しない。管理会社に連絡したから20分待て」と通報を阻止しようとしたとされています。

混乱した119番通報と救助活動

結局、同僚が自力で119番に通報したのは、最初の事故連絡から40分以上が経過した午後6時13分頃でした。しかし、消防当局は通報の5分後、通報取り消しの要請を受け、一度は引き返したといいます。その後、現場へ向かう途中で女性本人と連絡を取り、まだ閉じ込められていることを確認し、再び現場へ急行しました。この通報取り消しを要請した人物は同僚ではなかったと判明していますが、具体的な情報やその人物の正体は明らかになっていません。消防隊員は午後7時16分頃、エレベーター管理会社の担当者と共に作業を進め、停止したかごを移動させた上で、はしごを使って女性を無事救出しました。結果として、女性は約1時間40分以上にわたりエレベーター内に閉じ込められていたことになります。

被害者の訴えと規定違反の可能性

女性は、1時間40分以上にわたる閉じ込め体験とその時の恐怖が今も心に残っていると語り、「人が乗っているにもかかわらず、ホテル側が単なるエレベーターの故障事故としか考えなかったのは許されない過ちだ」とホテル側の対応を厳しく批判しています。韓国の昇降機安全公団による指針では、故障したエレベーター内に人が閉じ込められた場合、管理者は即座に119番へ救助を要請する義務があると定められています。今回の事故についてホテル側に事実確認を求めたものの、現時点でホテル側からの明確な回答は得られていないとのことです。

今回の仁川ホテルでの事故は、単なる機器の故障にとどまらず、緊急時における施設の適切な対応と安全管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。利用者の安全確保は施設の最優先事項であり、韓国の関連法規もそれを明確に定めています。今後の調査と、ホテル側の説明責任が求められます。